【プレハブの原点探る】ものつくり大学4年生が卒業制作 なつかしの"ミゼットハウス"完全再現 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【プレハブの原点探る】ものつくり大学4年生が卒業制作 なつかしの”ミゼットハウス”完全再現

 戦後のベビーブームで住宅需要が急増する中、爆発的に売れ、プレハブ住宅の先駆けともなった「ミゼットハウス」が、ものつくり大学の学生の手によって再現された。

再現したミゼットハウスと学生、三原教授(左)


 4年生8人が卒業制作の一環で文献調査などに基づき設計図面を復元、部材も鉄骨など一部を除き手づくりし、約60年前に販売が開始された「プレハブ住宅の原点」の完全再現に成功した。同ハウスを開発した大和ハウス工業グループの大和リゾートが経営するロイヤルホテル能登(石川県志賀町)の館内で実際の組み立て作業が公開された。再現したハウスは同大開学20周年記念事業として同ホテルに寄贈された。

 会見した同大建設学科の三原斉教授は、教材としてミゼットハウスを選んだことについて「未来の建築生産システムを考えるため、住宅工業化の原点たるプレハブを知ることが大切と考えた」とし、2015年度から三原研究室の学生たちが取り組んできた経緯を説明。「学生たちは実際にプレハブ構工法の斬新さを体験し、型にとらわれない発想と行動力が市場活性化にもつながることを理解できた」と強調した。

 同ホテルの松山隆一総支配人は、21年が大和ハウス工業創業者の故石橋信夫氏生誕100周年となることを紹介した上で、「当ホテルは大和グループによる観光ホテル・リゾート事業の第1号であり、当地は石橋が晩年を過ごしたという縁もある。偶然願いが叶ってのミゼットハウス寄贈で、有効に活用させていただきたい」と述べ、同大学に感謝状を贈呈した。

 同ハウスは子どもの勉強部屋として売り出された。再現したのは4畳半タイプ。組み立ては屋内とあって屋根設置に苦戦していたが、技能五輪のメダリスト2人(女性)を擁する学生施工陣の作業は臨機応変。工具の扱いも堂に入っていた。ハウスメーカーに就職が決まっている小池優香さんは「歴史的な建築の再現に携われて光栄だった。プレハブの新たな可能性も感じた」と話していた。



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