【EXPO2025】未来社会を見据えたイノベーション創出へ 夢洲実証実験の概要① | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【EXPO2025】未来社会を見据えたイノベーション創出へ 夢洲実証実験の概要①

 2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所は、夢洲(大阪市此花区)における実証実験の公募で、9件を実施候補として選定した。万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けた9件の事業者と内容を3回に分けて掲載していく。今回は「放射冷却素材SPACECOOLの価値検証実証試験」「自動運転を活用した未来社会の実装検討」「超スマート社会のサインシステム」を紹介する。

■放射冷却素材SPACECOOLRの価値検証実証試験

分電盤にSPACECOOLを施工

 代表者は大阪ガスで、NTN、カンボウプラス、SPACECOOL、セイリツ工業、竹中工務店が共同参加する。
 大阪ガスは、宇宙空間に放熱することで、直射日光下において周囲より温度低下させる放射冷却素材「SPACECOOL」を開発しており、試験エリア内に各種建屋を建設し、実使用に近い環境でこの素材有無の対照実験を行って省エネ・経済・快適・安全性などを評価する。
 NTNの移動型独立電源「N3エヌキューブ」の外装に「SPACECOOL」を施工・設置し、その効果を評価するほか、カンボウプラスはテント素材と「SPACECOOL」を一体化したテント生地を使って実験用テントを製造・設置。竹中工務店とセイリツ工業は分電盤に「SPACECOOL」を施工した効果を検証する。
 試験を通じて、建屋の熱設計を行う上で必要な基礎データの取得、多様な企業とのコラボレーション推進などを目指す。

■自動運転を活用した未来社会の実装検討

自動運転を活用した未来社会の実装検討

 代表者は大阪市高速電気軌道、共同参加者はあいおいニッセイ同和損害保険、NTTドコモ、大林組、関西電力、ダイヘン、ティアフォー、凸版印刷、日本信号、パナソニック、パナソニックシステムソリューションズジャパン、BOLDLY。
 万博輸送の模擬テストコースを構築し、自動運転車両の実用化に向けた技術と安全を含めたサービスの検証を行う。レベル4を見据えた自動運転車両の走行実証、遠隔監視システムの構築、5Gネットワーク、信号などのインフラ協調、エネルギーマネジメントの技術検証を実施し、複数台の車両を走らせることで群管理の課題を抽出する。
 具体的には、車両乗降における顔認証決済、パーソナルモビリティのシェアリングシステムや車両エネルギーマネジメント、車内の映像コンテンツや、道路の非接触充電・発電・自然循環配慮型舗装などを実証する。

■超スマート社会のサインシステム ~レーザーとドローンによる大空への空間描画~

超スマート社会のサインシステム

 代表者は大阪大学レーザー科学研究所、共同参加者は関西電力。
 ドローンを活用し、水蒸気とレーザー描画によって空中に大きな絵を描く。実験では、水蒸気散布による疑似スクリーンによる空間スクリーン生成技術と、走査型レーザープロジェクターによる空間描画技術を実証するとともに、雨天・風が強い場合の対応として、透過型スクリーン(網)による実証実験も行う。
 空中描画高さは18m程度を想定しており、ドローンの姿勢制御の違いや昼間・夜間、雨天・強風などの各条件での見え方や影響を確認する。
 将来の活用用途として、昼夜を問わず使用することを前提に、非常時の注意喚起や避難場所への誘導など、必要な場所に臨機応変に情報発信する手段としての活用を目指している。
 また、常時は動く空の広告塔としての活用も視野に入れている。



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