【BIM2021】プロパティデータバンク "不動産管理BIM"を推進 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【BIM2021】プロパティデータバンク ”不動産管理BIM”を推進

 不動産管理のデジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引するプロパティデータバンクは、不動産管理クラウドサービス「@プロパティ」と、汎用BIMソフト「Revit」が連携する新たなオプションサービスを提供開始した。賃貸契約、エネルギー管理、メンテナンスなどの情報とBIMを紐付けることで業務を可視化し、革新的な不動産管理システムになることが期待される。不動産管理クラウドとBIM連携の最前線について板谷敏正社長に聞いた。

板谷社長


■不動産管理は経営に直結
――不動産管理クラウドの特徴を教えてください
 日本にストックされる不動産は約2500兆円と試算され、不動産管理業務は一大産業となります。建設業と同様に、ITやクラウドを活用した不動産DXが急速に進んでおり、当社が2000年にリリースした@プロパティは約300社、9万棟に導入されています。

 建設業界では建物の完成後を「維持管理」とひとくくりに表現しますが、実際の業務はプロパティーマネジメント、ファシリティーマネジメント、ビルメンテナンス、アセットマネジメント、固定資産管理など多岐にわたります。それぞれ国家資格があり、業務体系も大きく異なります。

 また民間企業が関係する不動産は賃貸用と発注者が事業に活用するCRE(企業不動産)に大別できます。デベロッパーや不動産ファンドが建設するのが賃貸用で、首都圏のオフィスビルのほとんどが該当します。CREは本社や支社、工場や店舗などオーナーが自分で使う不動産です。

 賃貸用の不動産管理は経営に密接にかかわるため、業務の中核となる「テナント管理」のDXに@プロパティは対応してきました。今後はBIMと連係することにより賃貸管理、メンテナンス業務、工事管理業務、会計・経営業務を効率化するとともに経営ツールの一部として導入される可能性があると思います。

テナント管理におけるBIM画面イメージ

■国交省のモデル事業で検証
――BIM連携で取り組んでいることは
 BIMと不動産管理クラウドが連動した「不動産管理BIM」を推進します。国土交通省の「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」に20年に採択され、東京オペラシティビルと「BIMを活用した不動産プラットフォームの構築による既存オフィスビルの施設維持管理の高度化と生産性向上」を検証します。

 東京オペラシティビルはテナント管理、エネルギー管理、工事管理、メンテナンスなどの基本的な業務は現在もシステムを活用しています。それらとBIMを一体化し、長寿命化とWhole Life costの最適化に取り組んでいます。

 築25年のため、2次元の図面から3次元モデルをつくり、構造躯体の柱、梁、壁の寸法や位置、面積を正確に再現するとともに、テナント区画や設備を含めてBIM化しました。現実を「正」とし、既存施設から必要な部分だけ抽出してモデリングするため、設計、施工と情報を流してモデリングすることに比べると低いハードルでBIM化できます。

■区画や設備の位置確認をBIMで
――具体的な活用法は
 賃貸不動産ではテナント賃貸契約、請求・入金、予算・収支などを管理します。それぞれのワークフローにBIMが連携し、契約更新、賃料交渉、解約予告、テナント賃料、契約期間などの情報を3次元モデル上に表現します。

 また、設備機器の台帳データとBIMを紐付け、部材の抽出や位置確認を3次元モデル上で行い、対象機器、点検実施・報告、作業履歴などを管理します。今まで紙のリストで管理していましたが、クリックするだけで点検する設備が3次元モデルに表示され、拡大すれば機器の形状も分かります。

 指示する側と作業する人が同じ画面を共有するため、仕事の準備が効率化し、手戻りがなくなります。

■Revitのオプションサービスを提供開始
――不動産管理BIMの将来像は
 Saas型のBIMビューワを活用したためSaas型の@プロパティと一体的サービスとして開発することができました。不動産管理クラウドでBIM情報を活用するため、Revitを立ち上げたり、ハイスペックなPCを用意する必要もありません。

 今後は修繕工事や設備の更新情報をBIMに足していき、ゆくゆくは蓄積したデータを解析し、過去の故障発生率などの実態にあわせて最適な長期修繕計画を作成できるようにしたいと思います。そして管理記録を蓄積し、管理状況を可視化することで、建物の資産価値の適正化に貢献したいと思います。



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