【記者座談会】「成長」掲げる2022年/上場各社の市場選択結果 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

公式ブログ

【記者座談会】「成長」掲げる2022年/上場各社の市場選択結果

A ことしも1年が始まった。毎年のことだが、各社トップの年頭訓示には、1年のスタートを切るに当たって気を引き締められる上に、ことしも頑張るぞというやる気も与えてくれる。2022年の傾向として変化や強化という言葉のほかに、特に「成長」を強調したトップが多いように感じた。

B そうだね。ことしの干支の壬寅(みずのえとら)は、厳しい冬を越え万物が芽吹き始め、成長する年といわれることも関係するのだろう。ここ2年、新型コロナウイルスで苦しめられてきたことを考えると、この状況が早く収束して成長につなげたい思いもより強くなるよね。

C 確かにことしは社員のエンゲージメント(自発的貢献意欲)や、ウェルビーイングの観点からの経営を強調するトップが増えている傾向も見受けられた。少子高齢化で生産年齢人口も減っていくこの時代。採用も難しくなり、離職を減らして優秀な人材を確保する観点から、これらを重視する経営に変わってきたのだろう。

D そうそう。それと同様に、最近は「働き方改革」だけでなく、「働きがい」という表現もよく耳にするようになったよね。働きがいを持って社員に働いてもらえば、生産性が向上するメリットもあるというから。

C これまで働き方改革では休むことばかりを考えてきたが、豊かな生活を送るにはそうした意識も必要ということか。働きがいを持ってもらうために、社員が生き生きと働ける環境やコミュニケーションなどが必要だと思うね。

A 確かにそうした要素は必要だろう。しかし結局のところ、それには自分自身の意識にかかるところも大きい。ことしは働く意義を意識しながら、自分の成長にもつなげられるように心掛けたいね。

プライム市場に87社、維持に多大な労力

東京証券取引所。市場区分の見直しは上場の意義を改めて考える機会となる



A 東京証券取引所が4月4日の新市場区分移行に向け、上場各社の市場選択結果を公表したね。

B 現在、東証第1部には建設業として100社(外国株を除く)が上場している。今回、87社がプライム市場を選択した。だが、このうち11社は2021年6月30日時点ではプライム市場の上場する基準を満たしておらず、上場維持に向けた計画書を提出して経過措置が適用される。このため、純粋に上場維持基準を満たしていたのは76社ということになる。

C 全体では1部上場2185社のうち1841社がプライムを選択し、そのうち296社が計画書を提出したため、基準日時点の適合会社は全体の7割だ。建設業は全体平均を上回ったことになる。

B スタンダードを選択した1部上場企業も含め、プライムに適合していなかった建設会社を見ると、オーナー系企業や上場親会社の傘下企業が目立つ。こうした企業はやはり流通株式時価総額の基準達成に向けオーナーや親会社による株式放出が必要になり、ハードルが高いかもしれない。建築専業会社も多い。土木も含めた総合建設業でなければ市場からの高い評価は難しいということなのかな。

C 東証はプライムを「海外経済をリードする企業」と位置付け、世界基準の定性的な経営指標の公表、投資家との対話を求めており、流通時価総額の上場維持基準を満たし続けるのも多大な労力がかかる。近年はアクティビスト(物言う株主)への対応にも建設業は苦慮している。人材採用のために東証第1部に上場しているという企業は少なくないけれど、プライムに上場し続けるのに労力がかかりすぎるならば、上場する意義を改めて見つめ直しても良いのかもしれない。

【記者座談会】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら