【記者座談会】新幹線地震対策で中間まとめ/3年ぶり対面で賀詞交歓会 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

公式ブログ

【記者座談会】新幹線地震対策で中間まとめ/3年ぶり対面で賀詞交歓会

◆安全・安心確保へ耐震対策を前倒し

A 3月に発生した福島県沖地震を受けて、国土交通省が設置した新幹線の地震対策に関する検証委員会が中間取りまとめを示した。どんな内容だったのかな。

B 主要な内容は、JR東日本と西日本の両社に一部のラーメン橋台の柱の耐震補強を2025年度までに前倒して完了させるよう求めたことだね。対象は東北、上越、山陽3新幹線の計1140本で、両社の耐震補強計画に含まれていないものも710本ある。

C 今回の地震により、東北新幹線では耐震補強がされていなかった高架橋の柱17カ所が損傷した。このうち、桁の沈下を招いたラーメン橋台の柱は、通常の高架橋と比べて柱の本数が少なく桁荷重が均一ではなかったことが明らかになっている。再度災害を防ぐため、類似の橋台の柱は優先的に耐震補強を完了させる方針だ。

B 電柱も今回の地震により約90カ所で損傷や傾斜が確認されたため、着実な耐震補強の実施を要請している。両社の耐震補強計画の対象本数は計2万2500本で、このうち工事未着手の電柱は5500本となっており、これらの耐震補強を両社が完了目標とする27年度までに確実に完了することを求めている。

C 中間取りまとめでは高架橋や電柱の耐震補強方法について、現行の工法が妥当であると結論付けた。高架橋は鋼板巻き立て補強、電柱は鋼管柱への交換や高靱性補強などを引き続き実施する。

B 国交省が23日に開く新幹線脱線対策協議会では、今回の中間取りまとめを踏まえ、鉄道事業者が新幹線の耐震対策を議論する予定だ。日本の大動脈として経済活動や市民生活を支える新幹線のさらなる安全・安心の確保に向けた取り組みが一段と加速することが期待されるね。

3月に発生した福島県沖地震で損傷した高架橋柱(ラーメン橋台)(国交省の新幹線の地震対策に関する検証委員会に提出されたJR東日本の資料より)

上限規制対応の成果実る年に

 

A 話は変わるが、年齢のせいだろうか、月日が経つのを早く感じる。ことしも残すところ、あとわずかとなった。締めくくりに向けて、仕事を計画的にテキパキとこなしていくことが、長時間残業を回避し健康的に働くためにも重要になる。

B 新春に掲載するインタビュー記事など、仕事が山積みの状況だから耳が痛い話だよ。記事の作成だけでなく、賀詞交歓会の出欠の返事を出して、スケジュール管理する作業も意外と負担になる。

C そうそう。これまではコロナ禍で中止となっていたため、返事を書く機会が減っていたからね。しかし、2023年は開催する団体が増えており、ほとんどが対面形式で開く予定となっている。

D ことしから、さまざまな大会や発表会などが対面で開かれるようになり、情報交換もスムーズにできるようになっている。人と直接会うことができれば、明るいムードで会合も楽しめるね。

B 確かに来年の賀詞交歓会は明るいムードになるかもしれない。しかし、建設業に対する時間外労働の上限規制適用まで1年余りとなったため、きっと冒頭のあいさつなどで言及し、重い話が取り上げられるかもしれない。

A 来年の干支(えと)は『癸卯(みずのとう)』。これまでの努力が実り飛躍していくことを意味するという。建設業は規制適用までの猶予期間に、さまざまな工夫や努力で時間外労働の削減に努めてきた。適用開始までに上限規制の対応を実らせ、業界が飛躍していくことを願うばかりだ。

【記者座談会】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら