【記者座談会】文化庁が建築文化振興へ報告書案/建機の動力源に水素、燃料電池研究 | 建設通信新聞Digital

5月14日 火曜日

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【記者座談会】文化庁が建築文化振興へ報告書案/建機の動力源に水素、燃料電池研究

◆価値評価、人材育成など盛り込む

A 文化庁が建築文化の振興に向けた報告書案をまとめたね。どんな内容だったのかな。

B 建築物や周辺の景観が文化的価値を持つとの認識に立ち、その価値を未来に受け継ぐために幅広い観点から取り組むべき施策を提言した。報告書は、建築文化に関する検討会議の最終会合で示し、委員に大筋で了承された。

C 報告書では、文化的価値の評価の仕方をはじめ、保存、活用などを後押しする基本的な施策の必要性を指摘した。制度面では、専門的人材を育てる仕組みづくりや税制のほか、基本的な枠組み形成に向けた建築文化振興立法の検討などを盛り込んだ。

B 人材育成の仕組みとして示した「(仮称)建築文化マネージャー」は、建築や景観の文化・歴史の継承と価値創造のための専門的知識を持つ人材や資格を想定している。地域に残る名建築の保存・活用のためには、その価値を知るだけでなく、その土地の暮らしの実情に沿った向き合い方を考えられる人材が求められている。

C 現状では、既存建築に改修などの手を加えて活用するよりも新築の方が経済的なメリットが大きい。このため、既存建物の活用はなかなか実現していない。リノベーションなどを後押しする観点からも、文化的な価値が経済的価値の向上にもつながる仕組みを考える必要がある。報告書では、事業承継税制のような発想で建築の継承を後押しする税制の検討も方策の一つとして示している。

D 魅力ある建築や景観を未来に受け継ぐためには、用途変更などの運用も弾力的に進めなければならない。建築が、生活する人の誇りや愛着につながるような施策が実現してほしいね。

建築文化検討会議最終会合の議論を踏まえ、報告書は6月に公表予定だ

現場では次世代バイオ燃料活用

A 話は変わるけど、建設機械メーカー各社は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、水素エンジンや燃料電池を動力源とする建機の研究を進めている。市場投入のタイミングを見計らっているようだけど、状況はどうかな。

B コマツは、水素やバイオ燃料、e―fuel(合成燃料)、燃料電池などを取り入れるロードマップを示した。燃料電池と水素電池の実用化に向け、小山工場に約30億円を投資し水素試験設備を導入している。最終的には100%専焼の水素エンジンを開発したい考えだ。

C それに先駆けて、水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシンを開発しており、将来的には中・大型建機の量産化を狙っている。このほか、欧州地域の工場で生産される建設・鉱山機械の充填燃料をディーゼル燃料から水素化植物油に順次切り替えることを決め、環境に配慮した建機を提供することにしている。

D 日立建機は、20t以上の油圧ショベルで燃料電池や水素を動力源とする方向性で開発を進め、安全性やモーターなどの動き方を検証している。欧州ではテスト機をつくり、今後はあらゆる地域に展開できるベースを構築していく。

A 現場では、次世代バイオ燃料を活用しているね。

B 最近は、東急建設が廃食油や動植物油などを原料とするリニューアブルディーゼルを、東光電気工事が微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)由来の油脂などを原料とするサステオを活用している。

A さまざまな取り組みが進められているね。これらの取り組みが、CO2排出量の削減につながることに期待したい。

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