【記者座談会】建設各社で入社式/物価が上昇 | 建設通信新聞Digital

11月1日 金曜日

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【記者座談会】建設各社で入社式/物価が上昇

A 新年度が始まった。ことしも建設各社には、これからの建設産業を担う多くの新入社員が入社してきた。

B やっぱり新入社員は、会社にフレッシュな雰囲気をもたらしてくれるよね。触発されて、こっちのやる気もみなぎってくる感じだ。

C そんな新入社員も、学生時代には授業を受けたり就職活動をするのに、新型コロナウイルスの影響で苦労したはずだ。

D ことしの入社式では、そうした状況や学生時代に人間関係を築くことに苦労したのではないかと気にかけ、ねぎらう社長も多かった。

B それに「チャレンジ」や「失敗を恐れず」といった、やる気に満ちた若者を鼓舞するメッセージも例年どおり多かったね。

C 新入社員の共感をつかもうとしたのだろう。中には、流行のアニメを引き合いに出す社長もいた。アニメで興味を引きつけた後、将来の成長に向け、始めは我慢が必要だということを訴えていた。

A 仲間や同期を大切にする必要性を強調する内容が多かった点も、ことしの特徴ではないだろうか。新型コロナの影響で、人間関係が希薄になっていることにも反応しているのだろう。しかしそれ以上に、離職率の高さが大きく影響していることも考えられる。

B 大手ゼネコンの離職率は、それほど高くないようだけど、一般的に建設業の離職率は高いと言われているからね。連帯感や結束力が強まると、離職も減るかもしれない。そんな思いも、「仲間を大切に」という言葉に込めているのかもしれない。

D これから多くの新入社員は研修期間に入る。この期間中に同じ釜の飯を食べて、結束力を強め、たくましく成長していくことを期待したい。

大成建設の入社式(4月1日)

各種値上げの影響が深刻化

 
A 4月に入りさまざまなものが値上がりしている。新型コロナウイルスの収束の兆しが見えない中、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の進行なども相まって、各種値上がりにつながっている。

B 食品や日用品などの値上がりは生活に直結するので、本当に馬鹿にならないよね。身近なものだけに、給与の上昇よりも物価の上昇が上回っている感じで、正直、景気が悪くなっているイメージが一層強まってきた。

C 身近なものばかりではない。建設工事の資材価格や原材料価格の高騰も深刻だ。ストレートアスファルト(ストアス)とそれを原料とするアスファルト合材は、その代表的な事例と言える。ストアスは急騰し、燃料価格の上昇でアスファルト合材の製造コストも高騰しているというのに、それを販売価格に転嫁できず合材価格は低水準で下げ止まっている。このままでは、アスファルト合材の製造工場も窮地に立たされ、災害時の道路復旧などに深刻な影響を及ぼしかねない。

D 代表的事例と言えば、鉄鋼関係の価格上昇もそうだ。H形鋼や厚板などが軒並み値上げされている。「H形鋼2カ月連続値上げ」「全種類の製品値上げ」「過去最高レベルの価格」など、とにかく紙面に値上げ関係の見出しが躍らない日はない。

A こうした値上がりは、建設各社の利益を圧迫する。民間建築を中心に過度な受注競争も横行している中、官民を挙げて何年もかけ展開してきた建設現場で働く人の処遇改善への影響が心配される。その原資となる利益の圧迫は、せっかくの処遇改善を後退させかねない。適正価格で受注し上昇分は価格転嫁する。それが本来の姿だが、言うはやすく行うは難しだ。

 
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