【記者座談会】日事連全国大会が3年ぶり現地開催/資材価格高騰、今後の変化に注目 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【記者座談会】日事連全国大会が3年ぶり現地開催/資材価格高騰、今後の変化に注目

◆約1200人が参加、再会喜ぶ

A 日本建築士事務所協会連合会の建築士事務所全国大会が熊本市で開かれた。現地開催は3年ぶりで、大会式典や建築家の伊東豊雄氏による基調講演なども全てリアル開催だった。

B 2020年の福井大会はコロナ禍で中止となった。本来は21年に開催予定だった熊本大会は1年延期の末、ようやく開催にこぎ着けた。

C そんな背景もあって、今大会には全国から約1200人が出席した。会員単体では全国の単位会から1039人が集った。大会式典の前半、ブロック単位で単位会が紹介されると、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。紹介された各ブロックの会員それぞれが立ち上がって手を振り、久しぶりの再会を喜ぶ印象的な場面だった。

D ことしは創立60周年に当たる。加えて日事連を15年あまり脱退していた岐阜県建築士事務所協会が復帰した。新型コロナウイルスへの対応で参加を見送った単位会もあったが、節目の年に47都道府県が集った記念すべき大会だったと言える。

A テーマは「大自然の脅威に耐えて今 そして未来へ」だったね。

D 地元の熊本県建築士事務所協会の南孝雄会長も語っていたが、熊本地震からの復興の現在を見てもらうということは大きな開催意義だ。他方で、増加傾向にある自然災害への備えや脱炭素、デジタル化といった山積する課題と向き合い、建築設計事務所の未来を考える場でもあった。

C 児玉耕二会長は「防災まちづくりに対して建築分野も貢献していく必要性がある」と強調した。耐震化への対応だけでなく、建築の専門家として水害など、まちで起こり得るリスクを考えていくことが未来の都市の安全にもつながっていく。

B 次回は鳥取・島根大会だ。今回に続いて盛況な大会になると良いね。

大会は、約2,300席のホールを会場に密集を回避し、万全の感染症対策を施して開催。冒頭、岩本茂美副会長が力強く開会を宣言した

価格決定の在り方を考える転換点

A 一方、建設業界では資材価格の高騰問題が続いている。石炭や石油といった資源や物流コストの上昇、円安の進行などを背景に、メーカー各社は苦しい状況が強いられている。

B 10月1日からセメントメーカー大手3社が値上げを始めた。固定価格に値上げ分を上乗せする従来どおりの方法だけでなく、太平洋セメントでは急激な石炭価格の高騰に対応する「石炭価格サーチャージ方式」の運用を始め、新たなセメントの価格決定を実行する。

C 生コンクリート業界では、東京地区生コンクリート協同組合が旧契約分の生コン価格を見直した。値上げ分の積算資料への反映も、順調に進んでいる。ゼネコンなどへの説明に一層真摯(しんし)に取り組み、早期の価格転嫁を目指したいところだ。

A 鉄鋼業界は、どうだろうか。

D 高炉メーカーの日本製鉄は、急激に変化する石炭価格に対応するため、価格契約期間を5カ月から「基本3カ月」とし、市況やコスト変化次第で再交渉できるようにした。商習慣を必要に応じて見直すことを課題と捉え、工期が長い案件は、変化に対応できる契約形態を指向していく考えだ。電炉メーカーも事情は同じようだ。東京製鉄がまとめた10月の販売価格は、H形鋼、角形鋼管、厚板、異形棒鋼ともに前月から据え置きとしているものの、依然として価格は上昇局面にあるという。

A 値上げに対応するだけでなく、資材価格の高騰にいかに対処するか、価格決定プロセスや契約形態の見直しを検討し、建設業界全体のサプライチェーンを持続可能にする動きが見られ、まさに価格決定の在り方を考える転換点と言えそうだ。「値上げラッシュ」がいつまで続くのか、どのように変化していくのか注目が集まる。


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