【建設RXコンソーシアムが大規模出展】会長、副会長らパネルディスカッションを初開催 | 建設通信新聞Digital

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【建設RXコンソーシアムが大規模出展】会長、副会長らパネルディスカッションを初開催

 RX Japan(東京都新宿区、田中岳志社長)は12月5日から7日の3日間、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の専門展示会「第2回〈東京〉建設DX展」を東京都江東区の東京ビッグサイトで開催する。複数の建設専門展示会を開催する「JAPANBUILD(ジャパンビルド)2022-建築の先端技術展-」内で開催し、BIM・CAD・AI(人工知能)、建設ロボット・ICT建機などの製品、サービスを展示。ジャパンビルド全体で約450社が出展する。この建設DX展に、建設業界が中心となって現場で活用する施工ロボットやIoTアプリなどの開発と利用によるロボティクストランスフォーメーション(ロボット変革)の推進に取り組んでいる「建設RXコンソーシアム」が初出展する。伊藤仁建設RXコンソーシアム会長(鹿島専務執行役員建築管理本部副本部長)と土屋勝利RX Japan執行役員(ジャパンビルド事務局長)に、展示会の見どころと建設DXの今後を展望してもらった。

■ジャパンビルド全体で昨年の1.5倍

--昨年と比べてどのようなところが変化しましたか

 土屋 建設DX展を含むジャパンビルドは今回、規模が1.5倍に拡大します。建設DX展を初開催した昨年もコロナ禍の中で過去最大となりましたが、今年度の規模の拡大も建設DX展がけん引しました。昨年の盛況を見て建設DXに関わりたいと考えた企業の出展が増えたのだと思います。コロナ禍でも今のままでいたくない、DXで変わりたいという建設業界の強い推進力を感じます。
 規模が拡大したことで、イベントの内容も大きく変わり、昨年来場した人にも新鮮な展示会になります。特に、建設業界への参入を目指す新しい企業が増えたことを実感できると思います。

■正・協力会員合わせて140社超

--建設RXコンソーシアムのこれまでの取り組みを教えてください

伊藤 仁氏
建設RXコンソーシアム会長/鹿島専務執行役員 建築管理本部副本部長

 伊藤 建設RXコンソーシアムは、2021年9月に正会員16社でスタートしました。日本建設業連合会(日建連)に加盟する一定規模以上の企業で研究開発機関を持つゼネコンを正会員とし、これに該当しないゼネコンや異業種の企業を協力会員としていますが、設立から概ね1年で正会員27社、協力会員114社にまで拡大しました。ゼネコンとしては正会員と協力会員で合計31社が参画していますが、さらに2社が加入を希望しているため、建設DX展が開催されるころには33社となる見込みで、設立当初に比べて倍増する予定です。スーパーゼネコン4社とほぼ全ての中堅ゼネコンに加えサブコン約20社も入会しています。異業種から多くのベンチャー企業が参画しているのも特徴です。
 30社以上のゼネコンが参加するメリットとして、ユーザー数が増えることで製品を大ロットで購入でき、例えばロボットなどのコストダウンを図ることができます。また、業界内で共同開発できれば、どのゼネコンの現場でも同じロボットを使うことができますから、実際の使用者である協力会社の作業員にとって操作法を覚える労力が減りますし、習熟度が高まることによる生産性向上も期待できます。

 さらに、いわゆる協調領域に属するものについては、共同開発することでコストを分担できるので、その分を競争領域に投じることができれば、各社の技術力が向上して業界としてより成長できることも大きなメリットといえます。
 毎月開催する運営委員会では、分科会の活動を報告するほか、協力会員が新製品をプレゼンテーションする機会も設けました。例えばベンダーの協力会員なら、これまで各社に個別にプレゼンテーションしていたことを、30社以上のゼネコンに一度に説明できます。ゼネコン側もさまざまな製品が次々とリリースされる中、世の中にどのような技術やサービスがあるかを知ることができます。本コンソーシアムが、最新技術情報を建設業界内に普及・啓蒙する場となるわけです。

■ロボット、BIM活用の検討推進

--具体的な活動内容は

風量測定ロボット

 伊藤 現在10の分科会を組織しています。例えば自動搬送ロボット、タワークレーンの遠隔操縦のほか、建物が竣工するときに行う設備機器の照度や風量を測定するロボットの分科会も設置しました。設備の測定は竣工間近でないとできないため、作業員が残業して対応しているのが実情です。24年4月から建設業界も労働時間の上限規制が導入されるため、こうした測定ロボットの開発も重要になります。

自動搬送ロボット (Shimizu Robo-Carrier)

 BIM分科会の活動も活発です。BIMはゼネコン、設備、鉄骨など各社が作成したデータを連携して活用しますが、ゼネコンごとに連携のルールが異なるため、協力会社は各ゼネコンに対応するのが負担となっています。そのため、データ連携の共通化を通じ、BIM活用の効率化を推進しています。11月から新たに設備小委員会を設置し、ゼネコンとサブコンのデータ連携に特化した検討も始めました。
 施工ロボットの共同開発は、30年前にも日建連で取り組みましたが、コストが合わなかったりしてうまくいきませんでした。現場用ロボットはコンパクトで軽く、粉じんや段差などが多い現場環境下でも精度良く動かなければならないので、生産ラインで動くロボットに比べて開発が難しいのです。
 現在では各種センサーなどのロボット関連技術が進歩しましたが、未だに職人の技術を超えるロボットの開発はハードルが高いです。そのため完全自動化を目指すのでなく、今まで3人がかりだった仕事を2人や1人に減らすような、あるいは作業員にとって負担の大きな仕事を担うようなロボットの開発を重点的に進めています。まずは3K(きつい、汚い、危険)の解消に取り組み、将来的に自動化のレベルを引き上げたいと思います。
 また、市販ツール活用分科会も設置しました。現在、ドローン、バイタルセンサ、パワーアシストスーツの三つを検証しています。さまざまな製品が発売される中、個社で全てを把握するのは難しいため、各社が試した製品の使用感、用途別の導入効果などの情報を持ち寄り、適切な使い方を検証しています。もし大ロットで発注できればコストダウンが期待できるほか、メーカー側も機能の追加などに対応しやすくなり、より導入効果を高めることができると考えています。

■DX認知度や関心、導入の機運高まる

--出展社や来場者へのヒアリングを通じ、建設業界のDXがどのように動いていると感じますか

土屋 勝利氏
RX Japan執行役員建設DX展事務局長

 土屋 この2年で、多くの地域ゼネコンのDX推進担当や現場監督の皆さまにご来場いただき、実機を体験してもらう機会が増えました。各出展社の専門家から説明を受け、実際に体験することで「現場のDXはこういうことなんだ」と理解できるのがリアルイベントの価値だと思います。新技術をどう自社に取り入れればいいかをイメージして帰ってもらえるため、DXの波及に貢献できているのではないかと感じます。
 出展社への質問内容も「まったくわからない」というものから「ここまでは自分たちでわかるが、この先はどうするべきか」というように幅が広がっています。展示会も回を重ねることでユーザー側の認知度や関心度、導入の機運が高まっています。来場者が増えればニーズも多様化するため、サプライヤー側も最先端の技術から初歩的な製品まで、さまざまなターゲットに合わせた製品を展示しています。今回は規模が1.5倍になるため、多くの製品やサービスを比較検討することができます。

■正副会長が初のパネルディスカッション

--建設RXコンソーシアムも初めてブースを出展します

 伊藤 われわれが社会に伝えたいのは、コンソーシアムを設立した背景や経緯、現在の状況です。ブースには140社超の企業ロゴを打ち出し、参画している企業を知ってもらうとともに、各分科会の目的や取り組み、課題などを1枚のパネルに整理して掲示します。RX Japanからイベントエリアを提供していただき、施工ロボットのデモンストレーションを行うほか、各分科会の主査が日替わりで活動状況をプレゼンテーションし、参加者と対話できるイベントも計画しています。
 
土屋 イベントスペースの活用は、主催者と建設RXコンソーシアムの共同企画として取り組みます。建設RXコンソーシアムの活動を直接見て、実機を体験できる貴重な機会になるため、地域建設業の方にも積極的に見ていただき、建設業全体へ波及する流れをつくりたいと思います。

 伊藤 展示会初日の5日には、「建設業界に明るい未来はあるか~建設RXコンソーシアムが拓くニュー・フロンティア~」をテーマに、清水建設技術研究所の印藤正裕リサーチフェローがファシリテーターを務めるパネルディスカッションを行います。私と竹中工務店の村上陸太常務執行役員(技術開発・デジタル担当)と清水建設の山崎明建築総本部常務執行役員生産技術本部長、戸田建設の中原理揮常務執行役員イノベーション本部技術開発統轄部長、大林組の勝俣英雄執行役員技術研究所長がパネラーとして参加しますが、展示会のような公のイベントで正副会長がそろって話すのは初の機会となります。

■日本の最先端技術を世界に発信する架け橋

--開催に向けた抱負と今後の展望を教えてください
 

タワークレーン遠隔操作システム (TawaRemo)

 伊藤 建設RXコンソーシアムは建設業界初の取り組みであり、まずは活動を広げて、大きくすることが大切です。そのためにも展示会でわれわれの活動を周知し、われわれのことをまだ知らない企業に存在を知ってもらい、ぜひ仲間になってほしいと思います。関係省庁にも建設業界のDXを加速させるこのコンソーシアムの意義や価値を感じてもらえるよう、活動を続けていきたいと思います。
 また、分科会での共同開発を今後も引き続き推進し、24年3月を目標に全分科会の活動成果を発表できればと考えています。

 土屋 昨年と大きく内容が変わる中、特に今回は建設RXコンソーシアムが初めて出展し、パネルディスカッションやブースでの講演会、実機の展示を行います。建設DX展でしかできないことのため、ぜひ来場してほしいと思います。
 将来的なジャパンビルドの目標は、日本の最先端建設技術を世界に発信することです。まずは国内の建設業の方に来場いただくことが大事ですが、今後は海外から来場者と出展社が集うよう、社として取り組みを強化しています。その結果、日本の建築技術を世界に発信する架け橋になりたいと考えています。日本にいながら世界の技術を比較検討できるようにすることで、建設業界のさらなる発展に貢献したいと思います。

■12月5日(月)にパネルディスカッション

 建設RXコンソーシアムは、〈東京〉建設DX展初日の5日15時15分から、正副会長を含む鹿島、竹中工務店、清水建設、戸田建設、大林組の代表者が参加するパネルディスカッションを初開催する。テーマは「建設業界に明るい未来はあるか~建設RXコンソーシアムが拓くニュー・フロンティア~」とし、施工ロボットの活用や建設DXの今後を展望する。



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