【崩落予兆を補足】トンネル切羽安全監視システム、清水建設 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【崩落予兆を補足】トンネル切羽安全監視システム、清水建設

切羽変状を即時可視化/高精度で崩落予兆捕捉
 

現場実証で得られたトンネル貫通時の計測結果(速度分布)


 
 清水建設は、山岳トンネル工事の安全管理の高度化に向けた「トンネル切羽安全監視システム」を開発した。観測データを高速処理できるミリ波振動可視化レーダーを活用し、目視では確認できない切羽の変状をリアルタイムに捕捉する。同システムを活用し、捕捉が難しい切羽の崩落予兆を的確に捉え、切羽周辺作業の安全性の飛躍的な向上を目指す。
 システム開発に当たっては、ミリ波振動可視化レーダーを開発したアルウェットテクノロジーの協力を得た。使用する可搬式ミリ波レーダーは、ミリ秒間隔かつ0.1mmオーダーの高精度で、切羽の微細な変位を計測できる。計測データを基に、崩落の予兆を捉える指標として切羽全域の変位、速度をリアルタイムに算出。各指標の面的分布図を数十cmメッシュの分解能で、モニター上に表示する。
 機材の設置は5分程度で完了でき、計測開始から掘削面の変移情報をモニターで確認できる。レーダーが建設機械に反射することで生じる計測データの異常値を、ノイズとして除去する補正機能も備えており、設置場所の制約が少ない点も特長の一つとなる。
 同システムを、同社施工の山岳トンネル工事現場に試験適用し、貫通前後のトンネル掘削面の振動挙動を経時的に計測した結果、貫通点の周辺で変位や速度が段階的に増大する様子が確認でき、崩落の予兆を検知するシステムとして有用性が実証できた。
 山岳トンネル工事の労働災害の多くは、トンネル掘削の最先端である切羽で生じ、重篤災害につながるケースもある。切羽での労働災害防止に向けては、適切な落石・崩落対策と崩落予兆を事前に検知する仕組みの構築が重要だ。同システムには今後、注意報・警報発報機能を組み込み、切羽作業の安全性向上や切羽崩落災害の根絶につなげていく考えだ。

 

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