【BIM/CIM未来図DX】丹青社④ 外部工場と連携した生産合理化/データ活用は点から面へ | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【BIM/CIM未来図DX】丹青社④ 外部工場と連携した生産合理化/データ活用は点から面へ

 丹青社ではBIMを軸にデザイン部門と制作部門の連携がより強まってきた。森永倫夫取締役は「BIMデータの活用が点から面へと広がっている」と実感している。オートデスクのBIMソフト『Revit』を全面導入する同社の動きに合わせるように、木工や金物の外部工場とのBIM連携も目立つようになった。同社が取引する主要工場は全国で50社に達し、そのうち1割ほどがBIM対応にかじを切っているという。

 建設業界では先行導入したゼネコンを出発点に、鉄骨ファブリケーターや設備工事会社など協力会社のBIM導入が進展している。山田孝志執行役員テクニカルセンターセンター長は「取引工場では連携ソフトを介し、Revitデータを加工機械に連携させ、生産合理化につなげている。未対応の工場からも相談が出始めており、工場とのBIM連携は今後着実に広がっていくだろう」と説明する。

装飾もBIMデータから出力

 同社は、BIMの本格導入にかじを切った2021年1月期からの3年間を導入期に位置付け、BIMスキルの向上に力を注いできた。森永氏は「何よりも社員一人ひとりの変化が当社のBIMの原動力になっている。導入期を経て、社員のBIMに対する意識は大きく変わった」と強調する。

 BIM戦略の最重点項目として取り組んできた人材育成は着実に成果が出ている。先行するデザイン部門は、BIMスキルのレベルを複数段階に区分けし、年度ごとの達成目標を掲げている。24年1月期は、基本操作をマスターした上で、実務にBIMデータを使えるレベルを、デザイン部門の半数が確保することを目標にしてきた。岡崎勝久BIMデザイン局長は「皆が自分事としてBIMスキル向上に取り組んでいる」と手応えを口にする。

社員の意識変化が組織力に


 目指すべき到達点は、日常的にBIMを使うようになるレベルへの組織的な移行だ。先行するように20代、30代の若手はBIMへの対応力を伸ばしている。最上位のレベルには社内の講師役を位置付けており、現在は5人ほどに達する。そのうちの1人である村井義史BIMデザイン局BIMマネージャーは、解説動画で講師を務めるなど自らのノウハウを積極的に提供している。

 動画は1回当たり10~15分となり、全70回におよぶ。村井氏が「Revit活用のポイントを伝授している」というように、社内ではBIMスキル向上のバイブルとしてフル活用されている。制作部門のBIM推進役を務めるテクニカルマネジメント統括部制作企画課の松山新吾課長は「この動画で学び、現場で実践する流れが着実に広がり始めている」と実感している。

 制作部門では、BIM活用の作業を育成課題に位置付けている。課題として「基礎」と「応用」を分け、その中に制作業務に有効な活用の項目を設定している。24年1月期の目標として「基礎+応用」を約100人がクリアすることを掲げている。山田氏は「実案件でのチャレンジを経験値としてポイント化することで、自らのスキルが見える化でき、それが意識の向上につながっている」と語る。

 新たな中期経営計画の初年度となる25年1月期がまもなくスタートする。同社ではBIMを軸にデザイン、制作、営業の各部門が一体になって動き出した。

制作部門でも着実にBIM導入が進展



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