沖縄総合事務局が進めている首里城正殿復元整備工事が27日に上棟を迎えた。伝統装束をまとった工匠(こうしょう)役の宮大工が古くから伝わる工匠式を披露し、工事関係者約80人が正殿の悠久の安泰を祈願した。今後、正殿の外観を特徴付ける瓦ぶきと塗装工事が始まる。2026年秋の完成に向けて工事が最盛期を迎えつつある。設計は国建。施工は清水建設・國場組・大米建設JVが担当している。
工匠式は、平安時代から続くとされる宮大工の伝統儀式で、多くの場合、建築の屋根・軒まわりの造作を終え、木工事が一区切りついた時期に挙行する。
当日は、工匠全員が祭壇に向かって式の開始を告げる「総礼」、造営した正殿の位置や向きに誤りがないことを確認する「丈量・博士杭打ちの儀」を経て、参列者全員が1本の紅白の綱を手に取り、棟木を綱で屋根上に引き上げる「曳綱(ひきづな)の儀」の所作を実施した。
続いて、棟木を屋根の一番高い位置に組み納める「槌打(つちうち)の儀」を仕切る降り弊役の宮大工棟梁・社寺建の近藤克昭氏が建物の安泰を祈って「千歳棟」「万歳棟」「永永棟」と声高らかに発声。屋根頂部に上がった工匠2人が掛け声に合わせて槌で棟木を2回打ち付けた。その後、散銭(さんせん)・散餅(さんぺい)の儀、工匠全員の総礼をもって式を終えた。
上棟を迎え、清水建設の奥村耕治工事長は「上棟を迎えることができてうれしい。社寺建築でこれだけ大規模なものはない。重機がない中でこれほど大きな建物をつくった昔の人のすごさを再認識した」とコメントした。
首里城正殿の復元工事は、22年11月の着工から工程を順調に消化している。6月から土居ぶきとよばれる下地ぶき、7月から瓦ぶきと塗装の下地処理、24年後半から弁柄(べんがら)色の塗装が始まる見通しだ。
建設地は那覇市の首里城公園内。