【記者座談会】能登半島地震の廃棄物処理/万博後の大阪、IRや再開発の見通し | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【記者座談会】能登半島地震の廃棄物処理/万博後の大阪、IRや再開発の見通し

◇海上輸送に着手 公費解体の迅速化が鍵

A 能登半島地震からの復旧・復興に向けて大きな動きがあったね。

B 11日から海上輸送による災害廃棄物の広域処理が始まった。公費解体で発生した木くず約2000m3が石川県能登町の宇出津港から新潟県糸魚川市の姫川港に運ばれた。中間処理施設で破砕された後、セメント製造施設の燃料に使われる予定だ。今後は珠洲市の飯田港でも海上輸送を始めるという。

C 石川県の推計によると、今回の地震で発生する災害廃棄物は約244万tを見込んでいる。県の年間ごみ排出量の約7年分に相当するというから、いかに大規模かが分かる。県の計画では2025年度末までの処理完了に向けて県外で約38万tを処理する予定で、このうち海上輸送は約28万t、陸上輸送は約10万tに上る。

石川県は2025年度末までに廃棄物処理の完了を目指している


B 目標期間内に処理を完了するには公費解体の迅速化が鍵を握る。8日時点の公費解体の申請数は2万2983棟で県が想定していた2万2000棟を上回ったが、実際に解体に着手しているのは4104棟と2割に満たないのが現状だ。

D 先日インタビューしたある被災自治体の首長も公費解体の進捗(しんちょく)を現下の課題に挙げていた。公費解体の着手時に必要な補償コンサルタント、解体業者、所有者の立ち会いの日程調整が難航しているという。国は対応に当たる補償コンサルタントの人員を増強するなどして公費解体の加速化を図っている。

C 被災地を訪ねると損壊した建物の大多数が手つかずの状態で残っている。この風景が変わらなければ、住民にとっても復旧・復興が進んでいる実感は得られないだろう。一層の取り組みが求められているね。

◇会場跡地は今夏にアイデア募集

A 話は変わるが、2025日本国際博覧会の開催まで300日を切った。会場のシンボルとなる大屋根リングは3工区のうち、2工区で基礎構造体が完成し、会場の輪郭が見えてきた。

E 大阪では既に万博後の開発プロジェクトが動き出している。

F 万博が開かれるのは人工島「夢洲」で、南側を使用する。北側はIR(統合型リゾート)の開発予定地だ。万博跡地は国際観光拠点を形成する方針で、今夏に開発アイデアの募集が始まる。事業者の選定は万博終了後になるそうだ。

E 大阪城東部の森之宮エリアは「都心に残された最後の大規模用地」と呼ばれており、観光集客・健康医療・人材育成・居住機能などを集積させた国際色のあるまちづくりが進められている。1期開発では大阪公立大学の森之宮1期キャンパスを整備。25年4月の開校を目指している。1・5期開発では、アリーナや大学の1・5期キャンパス整備も予定されていて、28年春のまちびらきまでに完成させるようだ。

G 新大阪周辺の十三駅や淡路駅の再開発もにわかに動き出した。十三では、阪急電鉄の新規路線である新大阪連絡線となにわ筋連絡線のホームを、十三駅の地下に設置。その直上を含む地上の土地を活用する開発が計画されている。淡路駅では、柴島浄水場集約で発生する活用地を、連続立体交差事業に伴う高架下空間と合わせて開発する。

F 新大阪自体も3月に「新大阪駅南口エリアまちづくり協議会」が発足した。同駅南側が対象で、「まちづくりビジョン」や「地区整備方針」の策定を目指している。

G これら以外にもIRや北陸新幹線の延伸があり、大阪の建設需要は当分見込めそうだ。

 

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