【若者が入りたくなる学会へ】
地盤工学会は、4日の第68回通常総会で新会長に小高猛司名城大理工学部教授を選任した。小高会長は近年多発する災害で防災への関心が高まっていることを念頭に、「学会の活動の幅は昔よりも広がっている。地盤の専門家集団ということが学会の一番の強みである。会員一人ひとりがそれぞれの立場でプライドを持って社会のインフラ整備に役立つことが使命だ」と強調する。同時に「若い人が入りたくなる学会を目指したい」とも語る。小高会長に、意気込みや重点施策を聞いた。
--就任の意気込みを
「地盤工学会は、非常に歴史がある学会だ。2029年に80周年を迎える。その先の100周年を迎えるためにも、さまざまな基盤をしっかりと確立することが私に課せられた使命だ。会員数はピーク時の半分ぐらいになっている。若い会員が少ないのも現状だ。魅力ある学会にして若い人に入ってもらうことが100周年を迎えるためにも重要だ」
--中長期ビジョンと重点施策について
「課題を整理し、24年に私を中心に中長期ビジョンを取りまとめた。これを具現化するため、渦岡良介前会長の下でアクションプランをつくってもらった。今後、懸念される大地震の発生時に速やかに調査できる体制をしっかり整えていく」
「過去を振り返ると、阪神・淡路大震災の際には耐震基準などが調査に基づき大きく変わった。新たに災害が起きたときは、事象を学術的にしっかりと捉えた上で発信していく。例えば耐震基準であれば、従来の基準と比較して足りなかったところはどこなのかをしっかりとあぶり出していかなければならない。それが学術の進歩と社会貢献につながる。このことを常に意識して学会運営に当たる」
--他団体や行政との連携について
「土木学会との連携が重要だ。しっかりと連携して調査活動に取り組みたい。18年の西日本豪雨では、役割をしっかりと分担して連携した。協力体制は積み上げられている。大規模災害時に被災地は動けない。全国からの支援や調査が重要になる。災害調査も支援の一環だ。国土交通省をはじめ行政との連携も非常に重要になってくる」
--情報発信へは
「大きな強みとして学会発行の英文誌『Soils and Foundations』がある。海外からもたくさんの投稿が届く。これを使った情報発信にも引き続き力を入れていきたい。渦岡前会長が推進してきたオープンデータ化も進める」
「約10年前から中学校や大学での出前授業を支部ベースで展開している。学校の総合学習として災害・防災などのテーマで開いている。これは学会の強みだ。引き続きしっかり支援していく」
--DX(デジタルトランスフォーメーション)化について
「DX推進室を設けた。電子コンテンツの充実もさることながら、既存のコンテンツをいかに使いやすくするかが課題だ。若手会員を増やすためにも勉強したいときにできるようなインフラをさらに整備することが必要だと考えている」
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(こだか・たけし)1993年名古屋大大学院工学研究科・土木工学専攻博士課程後期課程修了。同年4月同大工学部助手、98年11月京大大学院工学研究科助教授などを経て2007年4月から名城大理工学部教授。地盤工学会では、21、22年に副会長などを歴任した。愛知県出身。66年1月4日生まれ、60歳。
【記者の目】
会員数が減少傾向にある一方で、毎年開く研究発表会の発表者と参加者の数は30年前から変わっていない。「自分の研究成果を発表したいというコアな層は減っていない」との認識を示し、入会したくなる魅力ある学会を目指すと力を込める。ベテラン会員が培った知見と見識を若手に伝える体制づくりも自分の役割だと強調する。言葉の節々から伝わる実直さが、目指す学会像を実現へと導くだろう。
