【R&Dセンターの運営方針は?/実装までやり切り価値届ける】
研究開発畑が長く、3年の本社勤務を経て、研究・開発拠点であるR&Dセンターのトップに植村聡氏が就いた。若手時代に極めて高いレベルの清浄度が要求される半導体工場向けクリーンルームの設計を担当した経験から、研究者の中でも「価値」に対する思いが人一倍強い。「お客さまに対する三機工業の価値にしっかりとつなげる研究開発を進めていく」と意気込む植村執行役員R&Dセンター長に、同センターの運営方針を聞いた。
--就任の抱負を
「R&Dセンターを『次の100年をつくる技術戦略拠点』にしたい。その第一歩として、挑戦を楽しみ、社会実装までやり切る組織にしていく。研究者は研究が好きなため、研究で終わらせがちなところがある。それでは意味がない。現場やお客さまに必ず実装できる研究を目指す。社会実装までやり切るのは、研究者にとって非常に大きなチャレンジだ。全ての開発品はお客さまに届けて、価値として出していくという意識付けをしていく」
「入社後7年間は半導体工場向けクリーンルームの設計を担当し、その後26年間にわたって研究開発をしてきた。私個人としては、クリーンルームの内部に細かい霧を噴霧して加湿冷却を行う『エコノフォグ』などを開発した。研究開発部門が長いことで、現実的な目標を立てられるのが自分の強みだ。一方で、研究開発のことを知りすぎている面がある。小さくまとまらないようにしていきたい」
--課題と注力する取り組みは
「研究開発部門は他部門以上に個人の能力に依存する組織。研究者の能力向上を促していくことが課題だ」
「お客さまのニーズを踏まえて開発テーマを決める入口戦略が極めて重要。建築設備事業本部や、機械システム、環境システムの各事業部としっかり話し合う取り組みをより深めていく」
「AI(人工知能)とロボティクスに注力しており、この二つは同業他社より進んでいると思っている。ロボット開発では、機械システム事業部を持ち、製作を依頼できる協力会社の存在が当社の強みだ。生成AIを使い、社内に埋もれている暗黙知を工事などに生かせる仕組みもつくっていきたい」
--2027年度までの中期経営計画に基づくR&D戦略の進捗(しんちょく)状況は
「R&D戦略では、ロボティクス技術の開発件数とオープンイノベーションの件数をKPI(重要業績評価指標)に設定している。野心的な数値目標を掲げたが、ロボティクスは順調に進んでおり、オープンイノベーションは既にクリアした」
「20年ほど前は当社単独で開発することがあったが、今ではパートナーと共に進めることがほとんどだ。引き続き、基礎研究をしている大学やベンチャーなど、開発が深く、広くなる相手を探して共創していく。そのために、仲間を見つける意識を常に持って展示会や学会に参加するよう、職員にしっかり伝えていきたい」
* *
(うえむら・さとし)1990年4月三機工業入社。R&Dセンター統括部長、常任理事R&D副センター長、常任理事デジタル改革推進副本部長、常任理事コーポレート本部デジタル改革推進副室長、常任理事コーポレート本部統括部長を経て、2026年4月から現職。好きな言葉は、江戸時代の大名・上杉鷹山が残した「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。神奈川県出身。66年12月21日生まれ、59歳。
