◇賃上げ・人材確保へ原資確保が不可欠
A 全国建設業協会の47都道府県建設業協会と会員2202社を対象としたアンケート結果がまとまった。
B 約8割が賃上げを実施し、深刻化する担い手不足の解消へ対応を急いでいる。4月から時間外労働の上限規制がスタートし、ますます人材の確保が急務だ。
C いわゆる“2024年問題”では、こんな調査結果がある。香川県に本社や工場などの拠点を持つ企業を対象に、百十四経済研究所が実施したアンケートで、約6割の企業は24年問題が「自社事業にマイナス」と認識していることが分かった。多くが輸送費の増加を理由に挙げているほか、建設業では人件費が増加している現状が明らかになった。
D 原資がなければ賃上げすることも、人手を増やすこともかなわず、最終的に、地域の担い手である建設業の衰退につながりかねない。年々激甚化・頻発化する災害に、継続して対応するためにも、発注者側の理解は欠かせない。
C こうした課題がある中、各社は生産性を向上させるデジタル技術の導入に取り組んでいる。少子高齢化による人口減少が加速する中、自動化・機械化技術の活用は「したほうが良い」ものから「しなければならない」ものになっている。
A 外国人材の活用も大切だ。
B まちなかの工事現場では、外国人の若者が働く姿をよく目にする。国籍に関係なく和気あいあいと昼ご飯を食べている姿を見かけると、国境というものがなくなってきているように感じるよ。
D “外国人”と捉えるというより、建設業界で活躍する“仲間”という発想になってきているのかもしれないね。
◇基本方針に国土強靱化の加速を明記
A ところで、1日召集の臨時国会で第102代首相に石破茂自民党総裁が指名され、石破内閣が発足した。
E 斉藤鉄夫国土交通相は、岸田内閣からの続投となった。国土強靱化担当相には坂井学元官房副長官が就いた。経済再生担当相は赤沢亮正財務副大臣が就任し、自民党総裁選で石破首相が公約に掲げた防災庁の設置準備も担当する。
F 1日の初閣議では、内閣総理大臣談話と、石破内閣の基本方針を決定している。国民の納得と共感を得られる政治を実現し、日本を守り、国民を守り、地方を守り、若者・女性の機会を守ることを掲げ、政策を推し進めるとした。
G 基本方針で建設関連の記述は、「国民を守る」の中にある。東日本大震災、能登半島地震をはじめとする大規模災害からの復興に全力で取り組むとともに、防災・減災、国土強靱化の取り組みを加速すると明記した。建設産業界にとって国土強靱化の文言が基本方針に盛り込まれたことは一つの安心材料だろう。
F 巨大自然災害や頻発化・激甚化する風水害に対処し、国民を守るための体制整備を進めるとの記載もある。これは、防災庁設置準備を指している。
E 坂井国土強靱化担当相は2日の就任会見で、「防災・減災、国土強靱化に強力に取り組む必要がある」と強調した。ただ、策定作業を進めている国土強靱化実施中期計画の策定時期については明言しなかった。防災庁については、「防災に対する行政組織をまとめることは大事で、まず人員、予算の確保から進めたい」との考えを示し、防災庁設置準備担当の赤沢経済再生担当相とより良い組織をつくるため協力していく姿勢を見せた。
A 石破首相は1日の記者会見で「代表質問に対する答えも、その前の所信表明も、本当に自分の言葉で語りたい」と述べた。4日の所信表明の内容が注目されるね。