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6月1日 日曜日

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【記者座談会】衆院選で与党が過半数割れ/阪神・淡路大震災から来年30年

◇高まるリスク 是々非々の政策論争に期待

国内外ともに課題が山積する中で、政治の停滞は許されない状況にある


A 10月27日に投開票した衆院選で、自公の与党が過半数を割り込む結果となった。政治とカネの問題などが影響したとの見方が強い。

B その分、議席数を大きく伸ばしたのが立憲民主党や国民民主党だ。特に野党最大の議席数を抱える立憲の野田佳彦代表は“政権交代前夜”を掲げて衆院選に挑んだだけに、その現実味が帯びていることを受けて意気揚々だ。

C 自公政権の過半数割れは、民主党政権が誕生した2009年以来15年ぶりということもあって、野田代表が意気込むのもよく分かる。しかし、政権が交代した当時を振り返ると、民主党政権は官僚の存在をよそに、政治主導で進めた結果、混乱を招き政治が停滞した。われわれ記者も、特に霞ヶ関では先方が口を閉ざし、取材がしにくくなった苦い思い出がある。東日本大震災、とりわけ福島第一原発事故の対応などによる混乱も忘れられない。再び政権交代となれば、当時のフラッシュバックで頭を抱える官僚も多いのではないだろうか。

D 確かに、そうした状況に陥ることだけは避けてほしい。その弊害で、経済を悪化させるようなことになれば、再び負のスパイラルに戻りかねない。首班指名選挙などを行う特別国会は11日の招集が予定されるが、他の野党の出方次第でその結果がどちらに転ぶか、まさに一寸先は闇といったところだ。

C いずれにしても、国内だけでなく海外を見ると地政学リスクは高まり雲行きは怪しく、国内外ともにさまざまな課題が山積している。そうした中で政治を停滞させてはならない。国民の生命と暮らしを守らなければならないのが政治の使命だ。いつ大災害が起きるかも分からない。どちらに転んでも、国が良くなるための是々非々の論争を通じて、より良い政策が実現されることを願うばかりだ。

◇切れ目のない国土強靱化対策を

A 大災害といえば来年は阪神・淡路大震災から30年を迎える。

B あの震災で耐震基準が見直される大きな転機となった。1981年の建築基準法改正で新耐震基準にはなっていたが、旧耐震の建物などが大きな被害を受けたため、2000年に法律をさらに改正して、現行の耐震基準になった経緯がある。

D 土木構造物も震災をきっかけに新たな耐震設計手法に切り替わった。その後も大規模地震が続発し、高速道路などの耐震化は格段に進んでいる。いま思えば、わが国の地震に対する考え方を一変させる災害だったといえる。

A 30年の節目に地震を風化させないイベントが各地で開かれるようだね。

E 兵庫県内では各地で犠牲者を悼む式典や当時の被災状況を伝える展示会、講演会が催されると聞いている。
F 震災で3号神戸線が大きな被害を受けた阪神高速道路会社は特設サイトを開設した。発災から復旧までの道のりや当時の社員の記録、震災後の防災対策などを紹介している。震災資料保管庫の開館や道路啓開訓練も予定している。

E 近畿地方整備局は震災30年のロゴマークを作成し、日本建築構造技術者協会関西支部ではパネルディスカッションなどで構成するイベントを実施する。

B 新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震、今年元日には能登半島地震と、大規模地震の発生は、わが国が常に抱える大きなリスクだ。対策を止めてしまうと地域の安全度は一気に低下してしまう。南海トラフや首都直下地震の切迫性が高まる中で、一刻も早い国土強靱化実施中期計画の策定が災害に強い国土づくりに求められている。
 

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