【データがひらく未来】AU2024inサンディエゴ③ ACCでデータ共有/生産性の向上に寄与 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【データがひらく未来】AU2024inサンディエゴ③ ACCでデータ共有/生産性の向上に寄与

 セッションでは、データを連携する上で重要な役割を果たす「Autodesk Construction Cloud(ACC)」の取り組みを紹介する企業が少なくなかった。ACCは業務とコミュニケーションを一元化できる建設プロジェクト向け統合プラットフォーム。設計や施工時のデータを関係者間で水平展開できるようになったことで、生産性の向上につながっている。

 例えば、竹中工務店では、関係者間のコミュニケーションが円滑になり、調達プロセスに起因する遅延ゼロを実現。セッションで滝本秀明東京本店プロダクト部BIMグループ長はこうしたACCの利点を解説した。

セッションの様子


 同社では4年前からACCを導入し、チーム内で使い始めたものの、「1年半程度使い方がつかめず苦しんだ。3年目くらいから効果を実感し始めた」という。

 このような苦労を、これから本格的に使用するユーザーが経験しなくて済むようにすることも使命の一つとして、7月、竹中工務店や清水建設などを中心に、ユーザー会が発足した。

 滝本氏は「これまでの経験で得たノウハウは隠さず出していきたい。利用時の課題や困りごとを業界全体で共有し、ACCをより使いやすい状態に持っていくことが、われわれのメリットにもなる」とし、ユーザー会への積極的な参加を呼び掛ける。実際にセッション後には、ある日本のゼネコンがACCの使い方を教えてほしいと、滝本氏に相談する様子も見られた。

 現在の会員数は11月時点で300人を超え、発足当時の230人から順調に増えてきている。

 データ連携に際しては、情報管理の在り方も重要だ。ユーザー会に加盟する大和ハウス工業は、BIMを使用して建設された資産をライフサイクル全体にわたり情報管理するための国際規格「ISO19650」の認証を取得した。

 セッションでプレゼンテーションした宮内尊彰東京本社技術統括本部建設DX推進部次長は、データを活用し、社内外と共有する時代が到来したからこそ、「セキュリティーが必要になった。社内のみで完結していた時代の在り方とはまったく違う」と強調するとともに、「ISOやACCがデータ受け渡しの突破口になることは間違いない」と先を見る。

 ユーザー会では、データをやり取りする方法を会員同士で話し合いたいとし、それは「各社ごとに異なる方法ではわれわれのお客さまが困ってしまうためだ」とその意図を説明する。

 セッションでは日建設計も、病院プロジェクトにACCを導入した事例を解説した。

 日本でデータ共有が本格化し始める中、米国の建設会社では、ACCを有効に活用し、設計や施工プロセスを効率化している好例がある。



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