【多様に広がる建設ICT活用⑪】建設総合サービス 受発注者間コミュニケーションをサポート | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【多様に広がる建設ICT活用⑪】建設総合サービス 受発注者間コミュニケーションをサポート

累計利用実績は6万件超

 建設総合サービス(大阪市)が展開する『電納ASPer』は、受発注者間情報共有システムとして建設業界内で着実に浸透している。2003年度のサービス開始からの累計利用実績は6万件を突破。「営業実績面では、近年地方自治体案件や業務委託案件でご利用いただくケースが目立って増えており、多様なお客様に活用いただくようになっている」(平石大貴電納ASPer事業本部マネージャー)と確かな手応えを感じている。

岡橋氏(左)と平石氏

 『電納ASPer』は、打合わせ簿などの書類作成管理機能、書類を電子上で回覧・決裁できるワークフロー機能、書類を整理・共有・保管できる書類管理機能、メールのかわりに使用できる掲示板機能、受発注者間の日程調整がスムーズにできるスケジュール機能、電子成果品作成機能を標準搭載し、オプションとして遠隔臨場・WEB会議機能、3次元データ等表示機能も用意して、公共事業の受発注者間における効率的で効果的なコミュニケーションをサポートしている。

 現在、国土交通省のほか、農林水産省、防衛省、独立行政法人、地方自治体などで採用されている。国と府県はかなり導入が進んできており、「営業活動先の比重は政令指定都市や中核市など、市町村にシフトしてきている」(同)と話す。最近では、例えば山口県・浜松市など全国自治体に先駆けてDXに取り組んでいる発注者での件数増加が顕著となっている。

 利用件数はエリア別にみると中部以西が強く、22年に名古屋市、23年には北九州市に拠点を開設し、サポート体制を強化している。「私たちが担当する本部のヘルプデスクでの対応だけでなく、新規導入時などは各拠点から直接出向き、顧客と顔を合わせて対応することで信頼感や安心感を得られやすいと感じる」(岡橋葉月同マネージャー)と両拠点の役割の大きさを強調している。

NPO法人日本環境土木工業会での説明会

 『電納ASPer』は公共工事関係者に広く認知されている西日本建設業保証のグループ企業が展開するサービスという信頼感、感覚的に操作できる操作性、利用しやすくシンプルな料金体系、万全のサポート体制が強みとなる。

 価格は、国土交通省発注工事での利用の場合はオプション機能を標準搭載し月額1万1000円(税込み)、そのほかの発注機関の工事や業務委託での利用の場合は月額7700円(同)と利用しやすい価格に設定されていることもポイントである。

 システムの改良や新機能の追加といったバージョンアップはこまめに実施している。「ユーザーの意見・要望を集約して整理し、優先順位などを定めて、平均するとほぼ毎月1回のペースで機能の更新・追加を続けている」(同)とのことだ。

 21年に正式リリースした、ブラウザ上でWeb会議と遠隔臨場ができる『ASPer LIVE』は、「国土交通省の発注案件にとどまらず、地方自治体などでもさらに活用いただけるよう機能改善に取り組んでいきたい」(平石マネージャー)と力を込める。

システム開発会議

 また、「地方自治体に拡大することで、中小企業での利用を想定し、専門のソフトが揃っていない企業やパソコン操作が苦手な人でも使えることを意識したシステムが求められている」(同)というように、『電納ASPer』『ASPer LIVE』ともに利便性の向上と機能の充実を図り、さまざまな面から情報共有システムに求められる役割を追求していく考えだ。

 電話やメール対応のヘルプデスク、オンライン説明会、訪問サポートを実施し、サポート面について高い評価を得ている。「利用件数の増加に伴ってお客様からのお問い合わせも増え、内容も多様化している。AIを活用してお問い合わせに迅速・的確に対応していくことに加え、原点として意識しているのは、操作で迷うことがないような、わかりやすいシステムづくり」(同)と語る。

 今後の新たな取り組みについては、「お客様の裾野が広がってきた今、広告・広報活動などマーケティングの視点から、より広く電納ASPerの魅力を知ってもえるように工夫していきたい」(岡橋マネージャー)と意欲をみせている。



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