【テーマ館など完成間近】開幕に向け工程管理支援/万博協会 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【テーマ館など完成間近】開幕に向け工程管理支援/万博協会

いのち動的平衡館


 開幕まで残すところ110日となった大阪・関西万博。大阪市此花区の夢洲では会場整備工事がラストスパートに差し掛かり、万博の理念を象徴するテーマ館をはじめ、一部パビリオンの完成が間近に迫っている。

 2025年日本国際博覧会協会は20日、現地でメディア向けに一部施設の工事の様子を公開した。生物学者の福岡伸一青山学院大教授が監修するテーマ館『いのち動的平衡館』は既に建物が完成。規模は、S造(サスペンション膜構造)平屋建て967㎡。設計施工は鹿島・NHAグループが担当した。2025年2月の完了を目指して内装・展示工事が進んでいる。

 展示場には直径10m、全周30mの円柱状のシアターシステムを設置し、約32万個のLEDによる光の点描で細胞分裂や生命の進化を表現する。

 テーマ館は、大学教授など各界で活躍するプロデューサーが主導して整備するパビリオンで、全8館が出展する。いずれも建物は完成済みもしくは完成間近であり、25年2月から3月までに内装・展示工事を終える見込みだ。

 タイプAパビリオンが全館着工した海外パビリオンの工事もピークを迎え、一部は近く完成を迎える。韓国館は、外壁に高さ10m、幅27mの大型LEDビジョンを備えた建物で、年内にも躯体工事が完了する予定だ。規模は、SRC造3階建て延べ2495㎡。建物の設計は日企設計と韓国のUIA設計事務所、施工はリバー建設が担当。

 外壁の大型ビジョンで同国の文化などを発信する映像を上映し、館内では来場者の声を素材としたAI(人工知能)による作曲体験などを提供する。

 若手建築家がデザインを手掛ける休憩所などのうち、かつて大阪城再建のために切り出されたが使用されなかった『残念石』を活用して建設するトイレも公開された。高さ2.5―3m、重さ7―13tにもなる五つの巨石が屋根を支える構造で、石の形をデジタルスキャンして屋根と石を接合する部材を作成することで、石本体を加工せずに柱として利用する。

 設計を担当したのは竹村優里佳氏、小林広美氏、大野宏氏の若手建築家3人。施工はシライテックが担当しており、25年1月の完成を予定している。

 このほか、万博のシンボルである大屋根リングではエレベーターやエスカレーターの設置が完了し、25年2月の検査完了を目指して植栽工事が進行中。会場外では25年1月に開業を控えた大阪メトロ「夢洲駅」の仕上げ作業が進むなど、来場者の受け入れ体制が整いつつある。

 同日に会場を訪れた博覧会協会の高科淳副事務総長は「大屋根が完成間近となり、海外館は全館で工事が進むなど、会場整備は軌道に乗っている。開幕に間に合うよう、工程管理などをバックアップしていく」と話した。


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