【太陽光発電、ケーブル切断対策に特化】防犯コスト最小化/NTTアノードエナジーと昭電 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

公式ブログ

【太陽光発電、ケーブル切断対策に特化】防犯コスト最小化/NTTアノードエナジーと昭電

 NTTアノードエナジーと昭電は、メガソーラーなど太陽光発電サイト向け「ケーブル盗難検知通報システム」を共同開発した。全国の太陽光発電サイトで電源ケーブルの盗難被害が多発していることから、電源ケーブルを切断すると同時に警備会社に通報し、アラートを発する新たな防犯対策を提供する。サイトへの侵入時ではなく、電源ケーブルの盗難作業に対策を特化することで、防犯コストのミニマム化を目指す。近くリリースする予定だ。

切断された太陽光発電設備のケーブルの例


 メガソーラーなどの太陽光発電サイトでは、発電のない夜間を狙い、太陽光発電システムの電源ケーブルを切断し、これを窃盗する事件が多発している。

 太陽光発電サイトは交通量の少ない郊外の広い土地に整備されることが多く、細部に目が行き届きにくい。これまでの防犯対策は、敷地を強固なフェンスで囲い侵入を困難にする方法や、監視カメラなどにより不法侵入を検知する方法が挙げられるが、いずれも広い敷地内に整備することから膨大な費用が必要になる。一方でこのような防犯対策を講じても窃盗者に対策を攻略されるなど、いたちごっこが続いている。

 全国で多数の太陽光発電サイトを運営しているNTTアノードエナジーでも盗難被害が発生しており、防犯対策の強化が急務となった。サイト数が多いだけに、個別のサイトにコストをかけるのが難しく、低コストで効果を発揮できる防犯システムを模索していた。太陽光発電システムの関連機材を納入している昭電に相談したところ、同社の保有する技術を改良し、約1年をかけてケーブル盗難検知通報システムの共同開発を実現した。現在、特許出願中だ。

 昭電のオリジナル商品である「トラップ式フェンスセンサ」と併用することで、窃盗犯の侵入時と、電源ケーブル切断時の双方で警報を発することが可能となる。断線を検知後、すぐにサーチライトを作動して侵入者を威嚇する機能や、監視カメラで状況を録画する機能もオプションでつけることができ、より早く、正確に現場の状況を把握することができる。

ケーブル盗難検知通報システムを導入した太陽光発電サイトと、村上氏(右)と武藤氏


 開発に関わったNTTアノードエナジーの村上敏朗エンジニアリングサービス部電力エンジニアリング部門長は、「広大な敷地を対象とした不法侵入防止、あるいは検知するシステムはコストの割に効果が薄いのが課題だった。今回のシステムは、電源ケーブル切断時に犯行を検知する業界初のシステムであり、盗難対象となる電源ケーブル自体を利用してシステム構築することでコストを大幅に引き下げることが可能となる」とメリットを強調する。

 同社は、盗難被害を頻繁に受けるユーザーからの相談を受け、ユーザーの保有する太陽光発電サイトにケーブル盗難検知通報システムを試験導入した。再び窃盗犯に侵入されたが、ケーブルを切断すると同時に警報が発せられたことで侵入者が逃走。電源ケーブルの盗難を未然に防ぐことができており、効果は実証済みだ。現在はNTTアノードエナジーの自社サイトでさらなる検証と知見のフィードバックを行うとともに、全国に多く保有する太陽光発電サイトに導入を拡大し防犯性能を高めていく。

 昭電の武藤光博通信メディア営業部次長は、「警察による窃盗犯の検挙が増えているが、より手薄な地域へと被害が拡大している。今後は全国的に防犯対策のニーズが高まることが予想されるため、既存のサイトに低コストで設置できるケーブル盗難検知通報システムを提案していきたい」と意気込む。

 

【公式ブログ】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら