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5月1日 木曜日

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【記者座談会】CCUS新見通しまとまる/公共発注者の入札不調対策

◇利用拡大へ施策の具体化が急務

30年度の登録技能者数が231万人を達成するなど、新たな見通しが示されたCCUS運営協議会の総会


A 2030年度までを期間とする建設キャリアアップシステム(CCUS)の新たな見通しが、CCUS運営協議会の総会でまとまった。ポイントはどこなの。

B 技能者、一人親方を除く事業者ともに、25年度以降の登録数を従来見通しから上方修正した。足元の登録数が上回っているためだ。

C 技能者数は、登録更新が始まる28年度以降も増え、30年度で231万人になると推計した。事業者数も増加を見込む。ただ、事業者登録は相当進んでいて、28年度の20.2万社をピークに漸減する見通しだ。29年度には単年度の非更新数が新規登録数を上回るとしたためだ。

D 一方で就業履歴数は伸び悩んでいる。24年度は約6000万件にとどまり、23年度から2年連続で従来見通しをクリアできない見込み。それでも、25年度以降の各年度で1億件超と高水準の従来見通しを据え置いた。国土交通省が24年7月にまとめた「CCUS利用拡大に向けた3か年計画」に基づく施策が展開されれば、利用拡大が期待されることを理由に挙げている。

A 登録は順調、利用はまだまだということか。総会では、どういう意見が上がったの。

C 日本建設業連合会は「肝心の就業履歴蓄積が思うように進んでいないことに危機感を覚えている」と強調し、利用拡大に向け直轄工事のCCUS義務化を改めて求めた。

B これに対して国交省は「地域の関係者のご理解を得ながら着実に進めていく必要がある」と答え、慎重な姿勢を崩さなかった。

D 3か年計画に基づく施策は26年度までに順次実施される。処遇改善に向けては利用拡大が必須で、施策の具体化が急がれる。

◇最新の動向把握して適正な価格設定を

A 話は変わるけど、24年の1年間を振り返る総括記者座談会で取り上げた公共工事の入札不調が、25年も続いているね。
E さいたま市が1月に公告し、3月に開札予定だった武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校整備の建築工事と機械設備工事が、参加者がなくともに不調になった。市は原因を調査して4月に再公告する予定だ。

B 一方で、再公告によって落札に至る案件も目立ってきた。

C 宮城県が24年12月に入札した県民会館・NPOプラザ複合施設新築工事は、入札書の提出がなく、不調になった。その後、県は設定している債務負担行為の範囲内で工事価格を見直して1月に再公告した。予定価格を71億円引き上げた結果、落札された。

A それほどの予定価格引き上げはなかなかないね。
E 群馬県大泉町の新庁舎建設工事も、単価を再調査して予定価格を見直し、落札に至ったケースだ。約9億円引き上げた。

B 予定価格を上げる以外にも、工事内容を見直して一括発注から分離発注に変更した案件がある。

C 東京航空局の東京国際空港海上保安庁格納庫機械設備工事だね。不調を受けて給排水衛生設備工事と空気調和設備工事の2件に分離した結果、両工事とも落札された。

A 発注者はどのような対策を講じればいいのかな。

D 国交省が24年12月に他省庁や地方公共団体に通知しているように、労務や資材などの最新の実勢価格を反映させた上で予定価格を設定するのが基本だ。積算価格が実勢価格と乖離(かいり)している恐れがある場合は見積もりを徴収する方法もある。変動する実勢価格を把握して適正に価格設定することが何より大事だ。

 

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