【BIM未来図】AutoCAD2026 つながる環境で共同作業の円滑化/AI導入効果が色濃く反映 | 建設通信新聞Digital

5月16日 金曜日

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【BIM未来図】AutoCAD2026 つながる環境で共同作業の円滑化/AI導入効果が色濃く反映

「手間を省き、作図作業の効率化を追求している部分に注目してほしい」と、オートデスクの汎用(はんよう)CAD『AutoCAD2026』を解説するのは、同社テクニカルサポートスペシャリストの高橋健氏だ。BIMの進展や時間外労働の上限規制を見据え、プロジェクト関係者がリアルタイムに「つながる作業環境」への対応も開発テーマの一つと明かす。最新AutoCAD2026の特徴を聞いた。

高橋氏

「まずはパフォーマンス向上を体感してもらいたい」。2次元や3次元のファイルデータを開く平均スピードは現行版AutoCAD2025と比べて11倍、アプリケーションの立ち上げについては4倍に引き上げられた。建築プロジェクトが大型化し、共有データは統合化され、大容量になるケースも少なくない。「現行版との違いを感じられるほど、処理能力は上がっている」と付け加える。

オートデスクでは主力製品へのAI(人工知能)搭載を積極展開している。力点を置くのは「機械学習」「分析」「生成AI」「オートメーション」の部分だ。AutoCAD2026では、図面内のブロック配置や変換を効率化する「スマートブロック」と、図面に書き込みや修正を行う「マークアップ」の部分にAI導入効果が色濃く表れている。いずれも有償パッケージ「AutoCAD Plus」の新機能となる。

スマートブロックの「検索と変換」では図面の同一のオブジェクトに加え、文字やテキストの検索が機能強化され、属性のタグ定義機能を追加したことにより、ブロックの管理がより効率化する。「検出と変換」部分ではオブジェクトを自動的に認識し、ブロックに変換する流れが加わった。例えば椅子に新たな手すりを付けてブロックを再登録する際の作業工数は大幅に少なくなり、「設計図面のトータル仕上げ時間は大幅に短縮する」と強調する。

同社のCDE(共通データ環境)プラットフォーム『Docs』を活用した際には、図面や文字表現などのルールに基づいた設定をチームで共有してAutoCAD2026を使うことができる。「煩わしい設定をしなくても目的のサポートファイルを使ってDWGファイルを表示、編集できるのが特徴」という。

マークアップ関連では、Docsの指摘事項ツールと連携を強化したことで、手書きやデジタルのアイテムを読み込むことが可能になる。さらにアクティビティインサイトの機能強化で、作図チーム内の変更点の概要を表示、共有できるようにもなる。「誰が何をしたかをよりリアルタイムに把握でき、共同作業の円滑化を後押しする」と力を込める。

同社は、CDEでオーナーを含むプロジェクト関係者がリアルタイムに情報共有する「つながる作業環境」をテーマに製品展開を進めている。AutoCAD2026ユーザーに最適な使い方をしてもらうため、AutoCADデスクトップ版を軸にウェブ版、モバイル版の充実も図っている。特にウェブ版は「直感的に作図や修正が取り組みやすい」ように使い勝手を向上させた。

AutoCAD2026はCDEでも存在感を増す


具体的にはマルチユーザーマークアップ機能によって、設計チーム内の同時アクセスによる協業を実現し、設計メンバー同士でリアルタイムに注記事項などを共有する枠組みとなる。「企業の枠を越えた協業の流れだけでなく、リモートワークの職場環境にもフィットするだろう」。AutoCAD2026は、処理能力の向上とAIの効果的な活用によって「とことん作業性を重要視した存在感を放つ」と強調する。

高橋氏は、23日午後1時から大塚商会が主催する「最新のAutoCADウェビナー」に登壇する。配信時間は40分。セミナーの申し込みは無料。21日午後5時まで受け付けている。

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