住宅建築を中心に設計や施工を手掛けるビーエムシー(愛知県岡崎市、青山徹社長)は、気密性や断熱性を重視したトレーラーハウスを製造・販売する。同社の青山健哉氏は「トレーラーハウスは移動させやすいが、その利点を生かすには寒冷地でも快適に使える性能が重要だ」と語り、建設現場などビジネス向け需要の拡大を狙う。
同社がトレーラーハウス事業を始めたきっかけは、2016年の熊本地震で自治体からモバイル建築への関心を実感したことだった。24年の能登半島地震の発生に伴って、同社はモバイル建築協会を通じて応急仮設住宅や支援者宿泊所などを建設した。災害対策面からの関心は現在も続くが、「自治体が仮設住宅や防災倉庫用途で導入を検討する際、平常時の活用方法が課題となる」と指摘。導入は一部にとどまる。
一方、「業務用スペースとして活用するBtoB向けの需要が増加傾向にある」と期待を寄せる。現在の主な需要は運送業だ。「トラック保管場所に、点呼やアルコールチェックや伝票整理などを行う場所を設けたいニーズがある。トレーラーハウスは市街化調整区域でも設置できる点が強みとなる」と説明。
ほかに、最短1日で設置できることや減価償却の期間が4年であること、建築物より再利用や転売が容易なこと、さらに原動機がなく車両に比べて保守管理の負担が軽いことや火災保険に加入可能なことなど、車両と建築物との中間的な性質が利点となり、飲食、物販、美容院、別荘などとしても使用されている。
他社のトレーラーハウスやプレハブ、コンテナハウスとの差別化点は「当社のトレーラーハウスは住宅の断熱等級5相当の性能を確保した。業務で長時間使用するときの快適性や省エネルギーにも配慮している」と強調。工事の状況に合わせて移動させやすいことを訴求のポイントとして、建設現場の事務所や休憩所向け需要の開拓も目指す。