【進化する地図】自動運転で関心高まるHDマップや5Gネットワーク設計用地図などが登場 | 建設通信新聞Digital

4月18日 木曜日

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【進化する地図】自動運転で関心高まるHDマップや5Gネットワーク設計用地図などが登場

 さまざまなものがインターネットとつながるIoT化が急速に進む中、公共交通や自動車運転などのベースとなる「地図」も進化を続けている。自動車の自動運転に向けた技術開発の進捗に合わせ、高精度の3次元道路地図に対する各企業の関心が高まっている。こうした大容量のデータを遅延なく伝送できる5G(第5世代移動通信システム)は、すべてのIoTのベースであり、5Gネットワーク設計用の地図も出始めた。

5Gネットワーク設計用3D地図


 地図事業の大手・ゼンリンが15日に発売した最新の「電子地図帳Zi21」は、“地図技術”の現在位置を知ることができる存在だ。タウンページや郵便番号、全国の道路はもちろん、経路探索や交通規制、市街地地図などの各種データを収録している。タブレットなどの端末にダウンロードすれば、住所を検索して新しい建設現場の事前確認に使ったり、現場までの経路検索、建物指定計測による初期段階の作業計画立案などに使える。
 そして、いま地図関係企業が注目しているのが、自動車の自動運転実現に必要となる高精度3次元道路地図(HDマップ)だ。産業革新投資機構や三菱電機、ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ(JII)が出資する「ダイナミックマップ基盤」(DMP、東京都港区)は、米国の自動運転用HDマップを開発・販売する「アッシャー」を買収する予定で、ゼンリンやパスコ、国内自動車メーカーが、出資や技術・人的面でサポートしている。ソフトバンクも、ダイナミックマップ基盤と共同で、自動運転や安全支援システムの中核を担うHDマップの実証実験を1月に実施した。高精度3次元地図製作用のレーザー・カメラ・システムを搭載した車両で公道を走行して道路の3次元情報を取得し、測定データを処理・解析。遮へい物などで正確に測定できなかった地図情報を走行中の車両や遠隔地で確認できた。HDマップ作成のための測量作業を効率的に進められるという。

高精度3次元地図のイメージ


 こうした技術を支える通信技術が5Gだ。NTTデータは、5Gの無線ネットワークを設計するための3D地図「AW3Dテレコムfor5G」の販売を2月21日から開始した。5Gの高周波数帯は、建物や樹木などによる伝搬損失や遮へい物の影響が大きくなるため、基地局やアンテナなどの無線ネットワークの設計で、従来よりも詳細な構造物の形状、樹木の種類を把握する必要がある。5G用ネットワーク設計用地図では、こうした遮へい物になる可能性のある建物屋上の構造物などを、従来より詳細に表現した。
 こうした進化した地図が、建設現場のIoTを支えるツールとなっていく。

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