【記者座談会】連日続く今年の猛暑/変形労働時間制 | 建設通信新聞Digital

7月18日 金曜日

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【記者座談会】連日続く今年の猛暑/変形労働時間制

◇異常な暑さで建材も悲鳴 労務単価に一考も

A 毎日暑いね。宮沢賢治じゃないけど「雨にも風にも負けず、冬にも夏の暑さにも…」って唱えて出社している。

B 6月の全国の平均気温は平年よりも2度以上高かった。気象庁によると、統計を取り始めた1898年以降で最も高かったそうだ。昨夏も猛烈に暑かったけど、今年も負けず劣らずの猛暑っぷりだ。

C 先月は安全大会シーズンだったけど、6月1日から始まった改正労働安全衛生規則に基づく熱中症対策の義務化も相まって、ファン付き作業服の着用を入場条件にするゼネコンもあった。

B 屋根がない現場もある。炎天下での肉体疲労は、冬場のそれとは比較にならない。賃金が労働力の再生産費とするなら、季節に応じた労務単価があってもいいと思う。

C 異常な暑さに悲鳴を上げているのは建物も同じようだ。日本電気硝子によると、この猛暑で網入りガラスに亀裂が入る「熱割れ」が多発しているのだという。

B ワイヤとガラス、それぞれ膨張率が違うから、外気の影響を受けてしまうということだね。

C ガラス内の金属の方が、膨張率が高い。高温になると内側からガラスをはじいてしまう。一方で、網入りガラスは割れても飛散しにくく、延焼防止に役立つから。以前は防火地域などでたくさん採用された。ただ最近は耐熱ガラスの性能が上がっている。新規物件で網入りガラスを目にする機会が減ってきた。

B 膨張率の文脈では、鉄筋とコンクリートとの組み合わせは最適だね。

D コンクリートと中に入っている鉄筋の膨張率はほぼ同じ。おまけにコンクリートは強アルカリ性で、これが鉄筋の酸化・腐食を抑える仕組みだ。鉄筋コンクリートは暑さに対しても非常によくできた組み合わせということだね。

6月の平均気温と偏差

◇業界特性で企業単体の取り組み難しく

A 猛暑にも関係すると思うけど、厚生労働省が建設業における変形労働時間制導入の要点をまとめた資料を作成したね。

B この猛暑の中で、屋外の現場で働くのは現実的に無理がある。年間を通じて繁閑の差が大きいのも建設業の特徴だ。だから、時間外労働の上限規制などを柔軟に適用できるようにしてほしいという声は建設業の各方面から出ている。変形労働時間制がその打開策の一つになるのではないか。

D 確かに、変形労働時間制なら10月から4月までを週48時間(週休1日)にして、6月と9月は週35時間(1日7時間)、猛暑の7月と8月は週30時間(1日6時間、8月1週間休暇)ということが可能だ。割り振りによっては7月と8月を週20時間にも設定できる。ただ、導入するには、会社の就業規則に変形労働時間の規定を加え、労使協定を締結しなければならない。

C そうすると実際に導入するのは難しい企業が多いかもしれない。週休2日もそうだけど、まず発注者の了解が必要だし、元請けから協力会社まで全てが同じ労働時間にならなければ、そういった柔軟な時間設定にできないからね。しかも、工事によって繁閑の時期が異なるし、現場によって猛暑の状況も違うから、会社の就業規則になってしまうと、ある班は働きやすいけど、ほかの班は働きにくいという状況になってしまう。内勤と外勤の差も大きい。

D 本当に猛暑の時期を休みにするなら、まず発注者が了解した上で、現場ごとに猛暑の時期を休みにすることを了解し、各協力会社が足並みをそろえて月給制に給与形態も整える必要がある。建設業は、結局、発注者から現場作業員まで一体となって取り組まなければならない構造といえる。

 

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