【エヌビディアAI Day Tokyo】清水建設・氷室氏が後援/映像から危険行動検知 | 建設通信新聞Digital

10月2日 木曜日

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【エヌビディアAI Day Tokyo】清水建設・氷室氏が後援/映像から危険行動検知

公演の様子


 清水建設の氷室福氏は25日、NVIDIAが東京都港区の東京ミッドタウンで開いた学びに特化した「AI Day Tokyo」に建設業界から唯一登壇し、NVIDIAが提案するフレームワーク「Video Search and Summarization(VSS)Blueprint」に専門知識を補完することで、映像から危険行動の検知などを実現する高度なAI(人工知能)活用事例を初披露した。

 VSSは、記録映像やリアルタイム映像を入力データとして、映像と言語を一体的に理解するVLM(映像言語モデル)などで処理する。膨大な映像を効率的に整理できることも特徴で、その結果、映像の要約や危険・異常検知アラートを出すだけでなく、自然言語で映像の内容を検索・照会し、回答を得ることも可能になる。

 今回、建設現場の映像を活用して、施工管理の効率化と進捗(しんちょく)・リスク管理の高度化を目指した。

 VSSの基本機能のみで使うことはできたが、さらにRAG(検索拡張生成)の連携により専門知識を補完することで、抽象的説明が実務レベルの具体的知識へ進化することを確かめた。

氷室氏


 例えば、危険行動の映像では、VSSのみの場合は、事故そのものは検知できるが、事故に至る前の危険行動は見落としていた。RAGを連携することで、規則知識を参照し、危険行動の早期検知を実現した。

 進捗要約の精度も向上した。VSSのみでは専門性に乏しく、概要レベルの要約にとどまっていたが、RAG連携により作業者の職種や具体的動作まで反映できた。

 発表した清水建設技術研究所ロボティクス研究センターの氷室グループ長は、VSSとRAGの連携は、建設に限らず、物流や製造、防災など幅広い分野へ応用拡大が可能との認識を示す。

 今後に向けては「現場で得られた映像を使ってテストを重ねることで、精度がさらに高まる。実際の現場で使えるように完成度を高めていきたい」とした。

 エージェント型AIやフィジカルAIの実装が加速する中、AI Day Tokyoにはさまざまな業種から開発者や研究者が参加した。氷室氏の講演にも多くの聴衆が詰めかけ、新たなフレームワークとなるVSSの活用に注目が集まっていた。

 

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