◇外国人のキャリアパス構築へ仕掛け
A 国土交通省の有識者検討会が2027年度に施行される育成就労制度のうち建設分野のルールについて、議論の内容を取りまとめた。ポイントは。
B 焦点の一つだった転籍の制限期間は、必要な技能習得に相応の時間を要することなどから2年が適切だとした。
C 1年を目指しつつ、業務内容などを踏まえて1年から2年までの範囲内で分野ごとに当面設定することになっていた。政府が有識者会議に対して9月に示した案によると、9分野が1年、建設を含む8分野が2年となる。
A 転籍制限期間が長いと、どういう影響があるかな。
B 産業間の人材獲得競争で不利に働くかもしれない。
C ただ、外国人は手に職を付けようと日本に来るわけだから、何より大事なのは中長期的なキャリアパスを構築できる産業かどうかだよね。
D 育成就労制度で独自設定できる上乗せ基準の一つに、建設分野は建設キャリアアップシステム(CCUS)登録義務化を位置付ける。業界横断で就業履歴を蓄積できるCCUSは他分野にない仕組みだから、その点で建設分野は有利になりそうだ。
B さらに、国交省が策定する建設分野の育成・キャリア形成プログラムを踏まえ、受け入れ企業が外国人ごとにキャリア育成プランを策定することが望ましいとした。キャリアパス構築の実効性確保が期待できる。
C 政府は、各分野のルールを規定する分野別運用方針の25年内の閣議決定を目指している。建設分野の方針は国交省検討会の取りまとめを基に作成される見通しだ。
D 分野別運用方針では、育成就労外国人の受け入れ上限として運用する受け入れ見込み数も示す。外国人政策の見直しを重要課題とする高市政権下でどうなるか。そこが次の焦点になる。
◇業務実施に危機感 東北整備局が対策事例集
A 話は変わるけど、冬支度が始まる中、全国各地でクマの出没・被害が増発している。16日には秋田県能代市街地の大型商業施設内にクマが進入して大捕物になるなど、特に東北北部を中心に異常とも言える状況だが、地域建設産業の動向は。
E 10月末の建設コンサルタンツ協会東北支部と福島県の意見交換会で、クマ対策が予定外のテーマに上がった。野生動物を刺激しないようクマ除けの鈴などを鳴らさないで山林に入る環境調査や、山奥に入ることもある地質調査など、業務の実施に建コン協が危機感を表していた。
F 県土木部と農林水産部は、早急な対応が必要として、工事と業務でのクマ対策費用の取り扱いをまとめ、設計変更で対応するとした。受注者からの協議要請を受け、クマ除けスプレー購入といった内容の妥当性を確認した上で、設計変更を行う。
E 秋田県や山形県の地域コンサルタント企業は、クマなどを狩猟する「マタギ」にヒアリングしたり、ドローンで入山前に現地を確認するなど、独自に対応している。
A 効果的な対策はあるかな。
F 国交省東北地方整備局は、工事現場などの対策事例集を公開した。クマ鈴やスプレーなど従前からの対策以外にも、大音量スピーカーなどの現場存置、海外のオオカミの尿といった忌避剤の使用、監視カメラ設置による警戒など、さまざまな工夫を紹介している。
E 現場の対応策の参考として、発注者協議会などを通じて県や市町村に周知し、建設関係団体にも情報提供している。追加対策などがあれば随時更新する方針だ。事業者は事例集を適宜確認し、現場条件に応じた安全の確保に臨んでほしい。













