【安衛教育】30分で死に至る恐怖! VRで墜落転落災害の「宙づり」状態を体感 | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

公式ブログ

【安衛教育】30分で死に至る恐怖! VRで墜落転落災害の「宙づり」状態を体感

VRマスクを装着した講習参加者

 西武建設は、労災防止教育の一環でVR(仮想現実)装置を使った安全衛生教育に取り組んでいる。ハーネス型安全帯とVRゴーグルを装着し墜落転落災害による「宙づり」状態を体感させるなど、参加者に事故の危険性を実感してもらうのが狙いだ。
 12日には西日本地区の協力会社などで構成する「西武西日本安衛会」が大阪市内で安全体験講習会を開いた。約70人が参加、関西地区では初めてというVR装置を使ったハーネス装着講習が行われた。
 講師を務めたのは、同社の安全教育アドバイザーを務めているみなとみらい労働法務事務所の菊一功所長。菊一所長は、参加者にハーネスを実際に装着させる講習を行っている。宙づりになるとハーネスのベルトが大腿静脈を圧迫し「サスペンショントラウマ」と呼ばれる状態が発生、最悪の場合30分以内に死亡する危険もあることから、墜落転落時の実践的な対処法を講習会で説明してきた。2017年度からはより現実味のある講習内容にするため、VR装置が新たに導入された。
 ハーネスを装着した参加者は現場の単管パイプに見立てた「ぶらさがり健康器」につり下げられ、体がベルトに締め付けられる痛みを実感。サスペンショントラウマを予防するため専用のストラップに足を通すなどの締め付け対策をとった後にVRゴーグルを装着、今度は地上10mの高さにぶら下がる「恐怖」も味わった。
 同社事業統括本部の村木康成環境品質安全部長によると、VR装置を導入したことで参加者の興味、 関心を高める効果もあったと説明する。
 VR装置は西武建設と岩崎が共同開発した。墜落転落災害を想定した今回のソフト以外にバックホウとの接触災害やクレーンつり荷の落下災害といった災害シナリオも作成済みで、これらのシナリオについても既に活用を開始しているという。
 同社では今後も協力会社や現場向けの安全教育にVR装置を活用していく方針だ。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら