開発した安全教育システムは、VRデバイスと3Dモデルを連動させることで、3DCG(コンピューター・グラフィックス)空間内で臨場感のある労働災害を体験できる。災害発生のシナリオはバックホウとの接触災害、クレーンの吊荷の落下災害の2種類で、実際に起きた災害を基に作成された。体験者はコントローラーを使って空間内を移動することでシナリオに沿った事故を体験できるが、事前に作業員やオペレーターに合図を送ることで事故を回避できる仕組みとなっている。
体験後には、なぜ災害が発生したかや、どのような対策を講じるべきだったかなどを被災者の立場に立って議論することで、現場の安全設備の見直しや危険予知レベルの向上など安全意識の引き上げに貢献する。蛯原巌西武建設土木事業部エンジニアリング部長は「普段は経験できない安全上の問題をどのように教育していくかという観点で開発した」と説明する。古口聡岩崎社長も「人の動きを感知して、自分が意図した動きに対して周りがどのように動くのかを実体験できる」とシステムの特徴を解説する。開発に当たっては関文夫日大理工学部土木工学科教授と菊一功安全総合調査研究会代表が監修した。
販売形式は専用パソコン、VR周辺機器一式、シナリオデータ、安全教育資料をパッケージとしたリース販売を予定している。将来的にVR機器が普及した場合はシナリオと安全資料のみを販売する予定だ。