【記者座談会】設備業界、住宅局と初会合/育成就労受け入れ上限定まる | 建設通信新聞Digital

1月30日 金曜日

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【記者座談会】設備業界、住宅局と初会合/育成就労受け入れ上限定まる

◇図面の精度向上へ切実な現状届ける

A 日本空調衛生工事業協会と日本電設工業協会が、国土交通省住宅局と初めて意見交換会を開いた。

B 新たな一歩と言えるのではないか。設計精度の向上やBIM推進といった意見交換で示した課題がそれだけ切実ということだ。担当部局に直接、話し合いを持ち掛けたことからも、本気度がうかがえる。

C 設計図と施工図の役割の違いに起因する手戻りや作業負担は、設備工事に限らない課題だ。手戻りの減少が期待されるBIMも、同様の問題を抱えてなかなか真価が発揮できない。両団体が口をそろえる「精度向上」は、施工図レベルの図面を設計段階でつくってほしいという業界の声を代弁している。

B ダクトが設計図面どおりでは天井に収まらず、施工者が施工図面をつくり直すといったことは、取材をしていてもよく耳にする。スピード重視の民間プロジェクトでは、受注できるか分からない段階で設備業者が依頼を受け、手弁当で施工図をつくることもあるらしい。

A 住宅局側の受け止めは。

C 施工側が抱える課題については理解を示した。ただ、両団体が見据えるような制度による解決は難しいとの立場だ。

B 設計図と施工図の違いが生まれる理由の一つには、設計段階では施工者の施工能力が分からないことがある。難しい部分は意図伝達の過程で形にしたい思いもあるという。設計段階で施工図をつくるのは、実務の観点では効率的かもしれないが、住宅局が危惧するように創意工夫の余地は少なくなりそうだ。

C 設計・施工間の手戻りの問題が、人手不足が深刻で工期のしわ寄せを受ける設備業界から投げ掛けられた意義は大きい。継続的な対話を通して前向きな変化を期待したい。

◇長期的な定着には個の支援が課題

A ところで、来年4月からスタートする育成就労制度について、受け入れ人数の上限が決まった。

D 2027-28年度末までの2年間で、「育成就労」での受け入れは42万6200人。「特定技能」も含めると最大約123万人が日本で働く。途上国への技術移転を目的とした技能実習制度は廃止され、日本での長期的な就労やキャリア形成も視野に入れた制度へ移行する。

E このうち建設業の上限は19万9500人と設定した。高齢化が進む建設現場に新しい風が吹きそうだ。

D 楽観視はできない。そもそも特定技能は19年、労働者不足を背景に新設された在留資格で、技能実習からの移行も可能だ。ただ、専門家によると、多くの実習生は期間を終えると母国に帰るという。

F 多感な青年期に親元を離れ、言葉も文化も違う異国で働く。よっぽど強い動機がなければ「この国で働き続けよう」とはならないね。

D 取材先で知り合った実習生がいる。内戦から逃れて来日したそうで、母国では大学で法律を学んでいた。本当は卒業したかったと話していた。「いつか法律家になる」とヘルメットをかぶり、汗をかいている。

E 新制度では、受け入れ企業は外国人材のキャリア形成に責任を持つことになる。就労支援で要となる監理支援機関と連携したフォロー体制が欠かせない。ただ、どれだけ緻密に制度を設計しても、問題は常に個別だ。類型化したマニュアルでも、全てはすくい取れない。ルールは最低限のボーダーで、この後のプラスアルファが人材定着の鍵を握る気がする。

A 当たり前のことだが、ただ働くだけではなく、業務を通じた達成感や喜びの共有など、感情的なつながりも重要だろうね。

 

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