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【富士山世界遺産センター】木材使用の3次元形状! 高難度の施工に威力を発揮したBIM

最終更新 | 2017/12/25 14:39

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鉄骨と木格子の統合モデル

 富士山をテーマとする静岡県の展示施設『富士山世界遺産センター』が竣工した。「これだけ本格的なBIMは初めての経験だったが、期待を超える効果を示したプロジェクトとなった」。施工した佐藤工業の平野敦所長は振り返る。建築家・坂茂氏が設計を担当し、木材を使用した3次元曲面が多くの注目を集めただけに、高い施工精度と厳しい工期での建設が求められた難プロジェクトで、BIMはどんな役割を果たしたのか。 「富士山の形を真似しただけでは絶対に本物の富士山のデザインには勝てない。象徴的に富士山の姿を見せる必要があった」。坂氏は逆円すい形にデザインした設計意図を説明する。建物の前に水盤を設置し、逆さになった施設を映すことで来訪者は富士山の存在を間接的に感じられるという。
 富士山の意匠を取り込んだ印象的な設計で多くの人々の注目を集める富士山世界遺産センターだが、着工までには入札不調や設計修正などもあり、工期順守とコスト管理の徹底が発注者から強く求められた。また施工面でも、デザインの要である木格子と鉄骨を組み合わせた3次元形状が施工の難易度を押し上げていた。
 特に大きな問題となったのは設計者、鉄骨工事業者、木格子工事業者などが異なるソフトウェアを使用していた点だ。施工する佐藤工業にとっても複数のデータモデルをどう統合し、各協力会社が使用可能なデータに変換して提供するかは大きな課題だった。
 そこで、施工段階のBIMマネジメントをシンテグレート(東京都中央区)に依頼するとともにダッソー・システムズ(品川区)のデータ互換性のあるプラットフォーム『3Dエクスペリエンス』を採用した。シンテグレートは設計者の3次元モデルを解析・調整して各協力会社のデータをまとめたほか、打ち合わせ段階から参加してBIMモデルを構築し、鉄骨構造と木材の干渉チェック、設備の検証などの役割を果たした。
 「2次元の図面では、短時間で鉄骨形状や関係する納まりを検証できず品質低下や原価流出のリスクがあったが、施工BIMを採用し、要求品質を確保するとともに工程の遅延や原価流出を抑制できた」。シンテグレートの渡辺健児ディレクターは、こうしたBIMマネジメントを求める施工者は増加しているという。特に、今回のような複雑な形状の設計データを施工者やファブリケーターが使用できる形式に変換するには、BIMのデータについてマネジメントを専門とする存在が必要だ。「モデリングデータの精度が低いと、施工や生産の際に『職人技』とされる高い技術が必要となり、コストにも影響が出る」と指摘する。

完成した富士山世界遺産センター  設計・監理=坂茂建築設計  施工=佐藤工業JV

 設計者はデザインのプロだがモデリングの専門家ではない。最終的なコストや生産性を大きく改善するには設計データを細部まで検証し、施工や生産に最適なデータに変換するひと手間が必要になる。「日本では職人が優秀でBIMは不要という声は根強いが、複雑な形状を効率的に生産するには詳細なデータに踏み込んだBIMが必要になる」とも語る。工期の面でも「BIMでプロジェクトを検討すれば高い精度で工程を管理できる」ため、現場で生じる不安を払拭できると指摘する。
 こうした3次元モデルへの情報集約、ワークフローの解析・再構築は発注者からも高い評価を受けた。平野所長は施工のコストダウンや工期短縮を実感したが、「まだ十分にBIMの情報を生かし切れてはいなかった」と先を見据える。設計データ、3次元モデル、現場の施工状況のデータ連携を深めることで、さらに生産性は高まっていく。「『統合』することがゼネコンの役割であり、必要な能力だ。今回の経験を生かし、今後のプロジェクトにも積極的にBIMを生かしていきたい」と期待は大きい。

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