【記者座談会】18年度予算案 公共事業費は安定確保の流れ維持/東京都は防災対策、五輪開催準備 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

公式ブログ

【記者座談会】18年度予算案 公共事業費は安定確保の流れ維持/東京都は防災対策、五輪開催準備

約1,200人が集まった1月5日の建設業関係11団体の新春賀詞交歓会。働き方改革の実現に向け、安定的で持続的な公共投資の確保が望まれている


A 通常国会に提出された2018年度予算案はどうか。
B 一般会計の総額は前年度比0.3%増の97兆7128億円で、6年連続して過去最大を更新した。公共事業関係費は、0.04%増の5兆9789億円となった。6年連続で増えるが、増加額は4年連続して26億円と同額で、小幅にとどまる状況が続いている。
C 公共事業関係費の内容をみると、生産性の向上につながるインフラ整備、激甚化・集中化する豪雨や台風など自然災害に対する防災・減災対策、既存インフラの老朽化対策の計画的な推進に重点を置いている。
D 6兆円弱という予算額が十分かどうかという議論は別にしても、建設産業が求めている安定的で持続的な予算の確保という観点からは、長期間続いてきた公共投資の減少に歯止めをかけ、当初予算ベースでの安定確保という流れにはなっているといえる。一定の水準を保つことは、生産性の向上や担い手の確保・育成、働き方改革などに取り組む建設産業にとっての後押しになるのではないか。
B 府省ごとの公共事業関係費は、全体をけん引する国土交通省が5兆2351億円、農林水産省が5142億円、内閣府が1730億円、環境省が444億円、厚生労働省が101億円、経済産業省は19億円となった。ただ、水道施設や廃棄物処理施設などの整備費は本来、公共事業関係費で賄うが、同関係費だけでは自治体要望の予算額が確保できないため、一般会計の非公共事業費やエネルギー対策特別会計などにも予算を計上し、要望予算額を確保した。
A 公共事業関係費は土木関係中心だが建築関係の予算額は。
C 船舶建造費なども含む建築関係を中心とした「その他施設費」は6581億円で、前年度から223億円増えた。計上額が多いのは、公立文教施設整備費や保育所等整備交付金など。子どもにかかわる施設費に重点配分したといえる。
D 一般からみれば、公共施設は公共事業となる。つまり18年度予算案での公共事業費総額は、6兆6370億円になるということだね。
B 17年度補正予算は、公共事業関係費1兆0003億円、その他施設費4544億円の計1兆4547億円となった。これにより、18年度予算案と合わせた公共事業費は、8兆0917億円になる。
A 注目度の高い東京都の18年度予算案の公表もあったけど。
E 一般会計は1.3%増の7兆0460億円だった。うち投資的経費は2年ぶりに増加し、3.6%増の1兆1121億円となった。
F 「3つのシティ」の実現と「新しい東京」の創出を目指し、引き続き無電柱化の推進などの防災対策や、20年東京五輪・パラリンピックの開催準備を着実に進めるとしている。
A 注目事業は何かな。
G 「鉄道新線建設等準備基金(仮称)」の創設だね。交通政策審議会答申第198号で「事業化に向けて検討などを進めるべき」とされた6路線の事業化に向け検討を深度化するため、事業の財源として活用する。
E 無電柱化の推進は、対象を43区市に倍増して区市町村への財政支援を進めるほか、新たに都営住宅外周道路の無電柱化、土地区画整理事業助成による無電柱化にも取り組む。ドローンを活用したインフラ分野の点検の検討も新規事業化した。
F 都民や職員による事業提案を募集し、都民が9件で8億5000万円、職員が15件で2億1000万円を予算に反映したのも特徴だ。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら