【リファイニング建築の提唱者】青木茂首都大東京特任教授が退官講演 今後は分譲マンションの再生に | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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【リファイニング建築の提唱者】青木茂首都大東京特任教授が退官講演 今後は分譲マンションの再生に

 構造躯体の耐震性能を軽量化や補強で向上させ、大胆な意匠の転換や用途変更、設備の一新で長寿命化を図る建物の新たな再生手法・リファイニング建築を提唱する建築家・青木茂氏の首都大学東京特任教授退官記念講演「首都大学での10年を振り返って」が10日に開かれた。青木氏は「教えたというよりも学ばせていただいた。学問は経験を伝えることであり、特に長期にわたり後継者を育てることの重要性を学んだ」と回顧し、今後は「分譲マンションの再生を手掛けたい」と衰えぬ活動意欲を示した=写真。
 青木氏は、青木茂建築工房を主宰するとともに2006年から同大大学院工学研究科の非常勤講師、08年から戦略研究センター教授、13年から特任教授を歴任した。
 35年以上にわたり交流が続く安藤忠雄氏らとの欧州建築視察ツアーで「イタリアの建築家カルロ・スカルパの作品に感銘を受けて改修の魅力を知った」とリファイニング建築の原点を回想。建物の再生工事の全てを記録する“家歴書”や、用途変更と大規模改修による検査済証の再取得、建物再生事業における金融機関との業務提携などの取り組みを振り返った。
 再生建築と学生の指導に取り組んだ同大学では、研究論文の代わりに年1冊のペースで書籍を執筆することでリファイニング建築技術をオープン化。再生建築技術を通じて中国や韓国など海外の大学との国際交流を担当するとともに、団地再生などのプロジェクトの研究成果も思い出に挙げた。
 最後に上野淳学長は「大学に新風を吹き込み、元気にしてくれた。この先も建築家として社会に貢献されることを期待している」と謝意を示した。

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