【橋梁ライトアップ】どの橋を光らせる? 都市型観光のかぎ握る品川区の「ヒカリノミズベプロジェクト」 | 建設通信新聞Digital

4月18日 木曜日

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【橋梁ライトアップ】どの橋を光らせる? 都市型観光のかぎ握る品川区の「ヒカリノミズベプロジェクト」

五反田駅周辺の整備イメージ

 目黒川や京浜運河、勝島運河、天王洲運河といった豊かな水辺を有する東京都品川区。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、これらを生かし18年度から始まるのが「ヒカリノミズベプロジェクト」。橋梁や護岸などの構造物をライトアップすることで、外国人観光客や地元住民でにぎわう観光・交流の形成軸を目指す。
 天王洲運河の西に位置し、かつて、のりの産地としても有名で豊富な水揚げを誇った品川浦は現在、船だまりとして釣り船や屋形船が舳先(へさき)を並べ、釣りや納涼に繰り出す人々でにぎわう。
 水辺空間の魅力を高め、観光の目玉にするために考え出したのがライトアップだ。20年東京五輪を狙いに定め、区内の人や訪日外人観光客に見て楽しんでもらう。
 ライトアップは目黒川、京浜運河、天王洲運河、勝島運河の4エリアで検討。その中で、船が行き交う目黒川と京浜運河に架かる橋梁から先行する。このエリアには江戸時代に徳川将軍家が鷹狩りの際に架けたことから別名、御鷹野橋とも呼ばれる「御成橋」や、上空から見るとアルファベットのKの形をしている「ふれあいK字橋」などが架かっている。どの橋を光らせるかは選定中という。

期間限定で行われた「目黒川みんなの イルミネーション(冬の桜)」での品川橋

 区は、「目黒川みんなのイルミネーション(冬の桜)」と題して、期間限定でライトアップした実績はあるが、今回は通年・常設を想定、五輪後も継続する。
 その意味では前例がなく、「通常の設計コンサルタントの土木的な感じでは難しいかもしれない。提案型のプロポーザル的手法により、全体のプランニングから設計までをお願いしたい。東京タワーやスカイツリーといった建造物のライトアップを経験した企業とメーカーが組んで提案してもらえればおもしろい」(持田智彦防災まちづくり部河川下水道課長)と期待する。「大阪などは水辺のライトアップが先進的で盛んだ。提案してくる企業も参考にしてくるのではないか」と予想する。

「目黒川みんなの イルミネーション(冬の桜)」の鈴懸歩道橋

 ライトアップの方法は大きく分けて2つ。1つは、護岸や堤防から橋梁に光を当てることで浮かび上がらせる方法。もう1つは、欄干など橋自体に小型のLEDライトを取り付ける方法だ。

目黒川に架かる品川橋のイメージ

 今回のプロジェクトは品川区単独だが、同時並行的に港湾エリアでライトアップに関する検討会を進めている東京都や、同じく水辺の観光資源を持つ港区、大田区とも情報交換しているという。
 内外から多くの観光客が訪れる20年東京五輪は、区をPRする絶好のチャンスでもある。日常の生活環境や資源に着目した都市型観光のまちづくりが“おもてなし”のかぎを握りそうだ。

【対象候補】
 対象候補となる区の橋((1)橋種(2)架設年度(3)延長)。
▽亀の甲橋=(1)鋼橋(2)1985年度(3)27m。
▽市場橋=(1)鋼橋(2)89年度(3)同。
▽本村橋=(1)PC橋(2)84年度(3)同。
▽ふれあいK橋=(1)鋼橋(2)94年度(3)28m。
▽山本橋=(1)鋼橋(2)2006年度(3)同。
▽御成橋=(1)鋼橋(2)04年度(3)30m。
▽鈴懸歩道橋=(1)鋼橋(2)76年度(3)28m。
▽小関橋=(1)鋼橋(2)10年度(3)27m。
▽森永橋=(1)鋼橋(2)94年度(3)同。
▽三嶽橋=(1)鋼橋(2)73年度(3)26m。
▽要津歩道橋=(1)鋼橋(2)69年度(3)28m。
▽要津橋=(1)鋼橋(2)66年度(3)27m。
▽荏川橋=(1)PC橋(2)88年度(3)同。
▽品川橋=(1)鋼橋(2)91年度(3)28m。
▽新品川橋=(1)鋼橋(2)72年度(3)27m。
▽洲崎橋=(1)鋼橋(2)87年度(3)同。
▽アイル橋=(1)鋼橋(2)96年度(3)100m。
▽東品川橋=(1)鋼橋(2)14年度(3)80m。
▽天王洲ふれあい橋=(1)RC+鋼橋(2)96年度(3)79m。
▽かもめ橋=(1)鋼橋(2)86年度(3)168m。
▽勝島橋=(1)鋼橋(2)01年度(3)150m。

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