【日系ゼネコンの参入歓迎】人口増で旺盛なインフラ需要 在日豪州大使館公使(商務) ブレット・クーパー氏に聞く | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【日系ゼネコンの参入歓迎】人口増で旺盛なインフラ需要 在日豪州大使館公使(商務) ブレット・クーパー氏に聞く

 近年、人口増加に伴うインフラ需要の増加で、空港や鉄道など大型インフラ整備を複数計画しているオーストラリア。かつては準大手ゼネコンも含めて日本の建設会社の進出が盛んだったものの、現在は数少ない。一方、建設分野ではスペインや韓国など海外勢の存在感が高まりつつある。オーストラリア政府は、日本のゼネコンが持つ優れた技術やノウハウに関心を示し、参入を歓迎している。在日オーストラリア大使館のブレット・クーパー公使(商務)に話を聞いた。

在日オーストラリア大使館公使(商務) ブレット・クーパー氏


◆堅調な経済成長
 「オーストラリア経済は、先進国で唯一27年連続のプラス成長を継続している。国民1人当たりGDP(国内総生産)は約5万6000ドルで、日本の1.5倍程度の水準だ」。これまで、堅調な経済成長を続けてきた。
 重要な経済基盤である人口も増加を続けている。「出生数の増加と移民政策によって人口は増加を続け、2500万人に達する見通し」という。人口増に伴い都市が拡大し、インフラ整備需要が増加している。「例えばシドニーは西側に都市圏が拡大し、空港や鉄道などの大型インフラ整備計画が複数ある。日本のゼネコンによる高度な技術が発揮できる工事も多い」と話す。

◆10年間で6.4兆円投資

 オーストラリア政府は積極的な投資姿勢を示している。「今後10年間で、交通プロジェクトだけでも750億米ドル、日本円で約6.4兆円の投資計画がある。2018年度は、交通以外の分野も含めて合計約2兆円を投資する」。土木インフラだけでなく、建築分野では病院や学校などの工事需要が多く、観光需要の高まりからホテルなども不足している。
 「日本とオーストラリアはこれまで、良好な関係を築き上げてきた。成熟した関係にある。このため、(参入後の)仕事もやりやすいはずだ。実際、日本の商社や金融機関は、オーストラリア国内で既に大きな存在となっている」。建設分野では、オーストラリアで活躍する日本企業が比較的少ないのも事実だ。

◆外資系企業に理解
 「オーストラリアは、外資とともに発展してきた歴史があるため、外国企業が比較的参入しやすい土壌がある。商社や金融だけでなく、さまざまな分野で日本企業が多く参入しているため国民の理解も深い」とみる。
 オーストラリア初の海底道路トンネル「シドニー・ハーバー・トンネル」も、日本のゼネコンが現地企業とのJVで施工している。当時、海外の大型BOT(建設・運営・譲渡)事業として注目を集めた事業だ。
 現在の海外勢の動きをみると、スペインや米国、韓国、イタリアなどがオーストラリアの建設市場に参入している。「オーストラリア企業とのJV結成や買収などに加え、アドバイザーとして参入しているケースもある」という。

◆透明性高く安全な市場
 海外事業の代表的なリスクといえば契約リスクだが、「契約面についても、オーストラリアは法治国家であり、透明性は非常に高く安全な市場だ。信用していただけると思う」との自負がある。

 「オーストラリアの貿易投資促進庁は、日本のゼネコンがオーストラリア市場に参入できるよう、支援を展開している。大使館としてもさまざまななお手伝いができる。ぜひ積極的に参入を検討してほしい」と呼び掛ける。

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