日本建築学会の古谷誠章会長と新任2人を含む4人の副会長が21日、東京都港区の建築会館で会見した。この中で古谷会長は、18日に起きた大阪北部地震のブロック塀倒壊を受けて、全国から専門家や緊急調査についての問い合わせがあるとした上で、「安全の指標となるチェック項目などを近いうちに提言したい」と語った。
また、日本建築士会連合会と日本建築士事務所協会、日本建築家協会の設計3会が自民党設計議連に要望した建築士試験の受験資格改正については、古谷会長が「個人的な見解」と前置きした上で、「大学における建築教育の内容やカリキュラムに影響があり、大きな関心を寄せている。必要な提言はしていきたい」と語った。その上で、「受験時期が早まることで、学校教育に試験が不用意に近づきかねない」とし、「全国の大学が整備したインターンシップを活用し、受験前に少なくとも1年は実務を経験した方が望ましい」とした。さらに製図試験のCAD化は、「実現すれば学校の製図教育に大きな影響を与える。3会に協議の場を申し入れたい」とした。
また、副会長の大崎純京大教授(学術・支部担当)は、調査研究委員会の再編に加えて、「1万人が参加する全国大会の受け入れ可能な大学が減少している。必要に応じて大会のあり方も検討したい」としたほか、シンポジウムのネット配信など、地方在住会員のサービス充実を示した。
新任副会長の竹内徹東工大教授(全国情報・国際担当)は、「日本建築学会が国際的に認知されるための布石を打ちたい」とし、英文ウェブや英文ジャーナルなどを通じて国際発信力を強化していくとした。
同じく新任の筬島亮山下設計取締役常務執行役員(社会ニーズ対応・普及啓発)は、「毎年のように大きな自然災害が起きており、建築に加えて土木、農林など異分野との連携を含めて考えていく必要がある」と抱負を語った。