【プリミティブなフォルムとの対峙】ブラジル先住民の椅子と伊東豊雄氏の空間構成がコラボ 東京都庭園美術館で9月17日まで! | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【プリミティブなフォルムとの対峙】ブラジル先住民の椅子と伊東豊雄氏の空間構成がコラボ 東京都庭園美術館で9月17日まで!

地元ブラジルの関係者のインタビューに答える伊東氏

 ブラジル先住民の椅子約90点と世界的建築家・伊東豊雄氏の空間構成がコラボレーションした展覧会「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」が、東京都港区の東京都庭園美術館で開かれている。希少な作品そのものの魅力とともに、本館の旧朝香宮邸のアールデコ様式建築と新館のホワイトキューブというまったく異なる空間での連続した展示となるため、伊東氏が提案する展示構成に注目が集まっている。
 展覧会は、ブラジルのアマゾン流域に居住する先住民たちが、一本の丸太から彫り出す椅子を集めた珍しい試み。先住民にとっての椅子は、儀式や結婚式の特別な機会に使うなど、生活や伝統、神話と色濃く結びついていた。それが今日では伝統にしばられない自由な表現に変わって受け継がれている。
 これらの椅子は、ブラジル・サンパウロに拠点を持つ美術・建築関連のベイ出版がコレクションとして保有しており、この中から選りすぐりの約90点が出展された。
 同美術館の樋田豊次郎館長は「以前ヴェネチアビエンナーレに行った時、ふと思ったのは、地球上のどこからでもアートは生まれているということ。これが今回の企画につながっている」と述べる。
 展示された椅子の大きさは大小さまざまで、メイナク族など17部族の作品を選んだ。動物や機能的なフォルムに独特な幾可学模様が施されているのが特徴だ。展覧会趣旨として、独自の感性から生まれた造形に人間の豊かな想像力の発露を読み取ってほしい、としている。
 作品の希少性に加えて空間構訳も展覧会の大きな見どころだ。
 伊東氏はこう話す。
「装飾性の強い小部屋に分かれた本館では、作品をそのまま置くと昔からそこにあったようになじんでしまう。このため抽象的な展示台を設けて、作品の椅子を浮き上がらせた。一方のホワイトキューブの新館は、たくさんの作品を床や展示台に置いて低い白いソファーなどに座り込んで対面する展示構成とした。作品のプリミティブな面と力強いエネルギーをどう生かすかを考えた」
 本館、新館に作品は連続して展示されているが、空間によって変わるコラボレーションの妙を体験することができる。
 9月17日まで。午前10時から午後6時。7月20日-8月31日の毎週金曜日は午後9時まで開催。第2、第4水曜休館。一般1200円。