【18年7月豪雨】地盤工学会が地盤災害緊急調査報告 各地域のデータ検証し提言 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【18年7月豪雨】地盤工学会が地盤災害緊急調査報告 各地域のデータ検証し提言

 地盤工学会(大谷順会長)は24日から26日までの3日間、高松市のサンポートホール高松を主会場として、第53回地盤工学研究発表会を開いた。25日には「平成30年7月豪雨による地盤災害緊急調査報告」が緊急災害調査報告セッション2として一般公開された。土木学会が共催した。

四国地区の調査報告

 冒頭、長谷川修一第53回地盤工学研究発表会実行委員会委員長が「特別講演会に代わり、急遽、緊急調査報告を行うことになった。われわれは何が分かっていて、何が分かっていないのか。何ができて、何ができないのか。また、何をしないといけないのかを思いを1つにして意見交換したい」とあいさつした。
 続いて、土木学会の塚田幸宏専務理事も「地盤工学会と連携を密にし、社会が必要としている、こうした調査報告結果や知見を、1つでも多く発信していきたい」とあいさつした。
 この後、木村亮副会長・災害連絡会議座長の趣旨説明、野崎智文四国地方整備局企画部長による豪雨の概要説明があった。
 調査報告では、中部・関西・岡山・広島・四国・九州の6地区の調査団による調査結果が報告され、質疑応答があった。また、テーマ報告として、豪雨災害と地盤品質判定士、今回の斜面災害の特徴と過去の災害との相違点、最近の堤防の被災事例と特徴、ため池の被災事例から見た減災機能と維持管理についての報告があった。
 四国地方の地質は中央構造線より北側(瀬戸内海側)の内帯と南側の外帯に分けられ、外帯は三波川帯、秩父帯、四万十帯に分けられる。通常は四万十帯、秩父帯で災害が多いが、今回の豪雨災害ではすべての地質帯で災害が発生したという。
 このうち愛媛県の斜面災害の発生個所は、平年は降雨が少ないものの今回は多量の降雨があり、宇和島市吉田町・三間町、西予市宇和町・野村町は降雨耐性の低い地域と認識する必要性を指摘した。また、土砂災害の発生した場所のほとんどは、土石流危険区域、急傾斜地崩壊危険個所、土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域、山腹崩壊危険箇所など、危険区域として指定されていた。
 総括として「平成30年7月豪雨に対する地盤工学会の今後の方針」として、大谷会長が「発表者には多くの貴重なデータを示していただき、感謝している。これらを受け本年度、会長特別委員会を設けることにした。各地域が持つ貴重なデータや今後の調査結果も含め、工学会でしっかり検証し、災害の原因を究明も進め、共通の課題や対策、今後に向けての提言などを会員や国民に示していく。今後も協力をお願いする」と結んだ。
 会期中の3日間は、さまざまな技術発表や技術展示、見学会などがあったほか、市民向け行事として講演会や地盤品質判定協議会による相談会も行われた。

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