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4月27日 土曜日

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【18年7月豪雨】多くのダムが効果発揮も課題を指摘 土木学会関西ら5団体が調査結果報告

 土木学会関西支部(吉村庄平支部長)など5学会の関西支部は9日、大阪府吹田市の関西大学で、「平成30年7月豪雨災害関西調査団速報会」を開いた。約430人が参加した。
 冒頭、吉村支部長は「今回の調査団は『災害時における調査の相互協力に関する協定』に基づいた初の合同調査団として組織した。きょうの報告はいずれも有益な情報なので今後の対策としてほしい」とあいさつした。
 報告では、土木学会関西支部の角哲也京大防災研究所教授と佐山敬洋同教授が「7月豪雨の特徴と河川災害」と題し、報告した。降雨の特徴やダム操作、浸水被害、情報伝達の視点ごとに説明した。
 ダム操作では、多くのダムが洪水調節機能を発揮したものの、あと一歩で大災害のリスクがあったことや、超過洪水に至った際に異常洪水時防災操作が多発し、前線性降雨地域で治水容量が限界状態だったことが報告された。その上で、ダム再生などハード対策の必要性や、事前放流などのソフト対策についての課題が指摘された。

 このほかの4学会の調査報告と発表者は次のとおり(敬称略)。
 〈地盤工学会関西支部〉
▽7月豪雨による地盤災害緊急調査報告=芥川真一(神戸大)、鏡原聖史(ダイヤコンサルタント)。
 〈砂防学会関西支部〉
 ▽京都府綾部市上杉町で発生した斜面崩壊の状況=小杉健一朗(京大)、正岡直也(同)。
 ▽福知山市大江町公生で発生した河道掘削の状況=星深好文(立命館大)。
 ▽神戸で発生した土石流、土砂流出の状況=笠原拓造(国際航業)。
 〈日本地すべり学会関西支部〉
 ▽平成30年7月豪雨による都市域の斜面災害=釜井俊孝(京大)。
 〈応用地質学会関西支部〉
 ▽航空写真からみた平成30年7月豪雨災害の概況=坂口和之(アジア航測)。
 ▽地形・地質学的な観点からみた西日本豪雨災害-福知山市大江町天然ダム=井上直人(地域地盤環境研究所)。
 ▽神戸市北区の被災状況と地形地質=永川勝久(基礎地盤コンサルタンツ)。

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