【池袋大仏】都心の中に"お山とお寺"を 緑をまとった仙行寺本堂ビルが開苑 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【池袋大仏】都心の中に“お山とお寺”を 緑をまとった仙行寺本堂ビルが開苑

 池袋に大仏が出現--。東京都豊島区池袋にある日蓮宗寺院松栄山仙行寺の本堂ビル『沙羅浄苑』が25日に開苑した。「都心の中の山寺」のコンセプトのもと、都心における新たな供養の形を提案。地域の新たなシンボルとして、まちに開かれた“池袋大仏”とともに、コミュニケーションスポットとしての役割も期待される。設計はマウントフジ・アーキテクツが担当。佐藤秀が施工した。
 東日本大震災で区内唯一の木造本堂が損傷したため、再建を決断。寺院の本堂というあり方を見直し、南池袋公園に近接するランドスケープや寺院の公共性、地域の文化的貢献なども勘案。1階には大佛師の渡邊勢山氏が製作した総ヒノキづくりで高さ約5mの池袋大仏が片持ち梁を生かし、あたかも空中に浮遊しているように鎮座。左官は久住有生氏が手掛けた。
 規模はRC・S造8階建て延べ1204㎡。1階に池袋大仏、3-6階が参拝室で各フロアに参拝ブース4室を採用。特別参拝室は庵治石を採用している。7階が本堂となる。外装寺社には建築の伝統的な素材の銅製スキンで覆い、その内側に桜を含んだ数々の木々を植樹することで緑をまとった外観となっている=写真。
 開苑に先立つ23日には内覧会が開かれ、関係者と高野之夫豊島区長によるトークセッションが行われた。この中で朝比奈文邃住職は、「都心における寺院の新しいあり方を試みた」と事業を紹介。高野区長は、「日本一、世界に示せるコミュニティースポット」としての役割を期待した上で、周辺の魅力をさらに高めるまちづくりに取り組んでいく姿勢を示した。

左から朝比奈住職、高野区長、原田氏、久住氏、渡邊氏(高さ約5mの池袋大仏の前で)

 設計を担当した原田真宏氏は、「都市の中の山寺」というコンセプトについて、「お山とお寺は対となって信仰の場をつくっており、四季の移ろいを感じられる緑豊かなお山が都心にあることで街の日常が豊かになると考えた」と紹介。山のような寺のような二重の意味を持つ存在として「現代都市生活者の心身の生活を豊かにしたい」と語った。
 その原田氏から「生きた土を持ち込みたい」と依頼された久住氏は、「油の力を借りることで、左官の水気を表現した」という。また、渡邊氏は、通常は須弥台に乗っている重量物の大仏を片持ち梁で空中に浮かせるようにみせた原田氏や構造家とのコラボレーションについて、「ともに真理を目指せば1つになれる」と振り返った。

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