大阪市に本社を置く中川テクノは、1955年から金属製雨といを専門に手掛けてきた企業だ。そんな同社がことし5月、新機軸としてアルミ素材の雨といを新たに発売した。「スマートかつ防犯性に優れ、施工も簡単。幅広いジャンルに対応できる」と稲田和裕社長は胸を張る。
ガルバリウム鋼鈑(GL)製とステンレス製に次ぐ新機軸として同社が着目したのがアルミ素材だった。GLよりも高級感があり、ステンレスよりも安価。軽量なので施工者にとっても扱いやすい。だが既に同業他社が先行して商品を展開していた。「同じモノを作っても仕方がない」。ブレークスルーのポイントとなったのは、「防犯性と施工性だった」と開発に当たった営業部の田伏英次課長は振り返る。
泥棒被害の多くが2階以上の部屋で発生、侵入の際に雨といや給排水管を登っている事例が多いことに着目。侵入対策としては「忍び返し」を装着するのが一般的だが後付けしなければならない点や、落下事故の危険性も考慮して「登らせない」雨といの開発に一から取り組んだ。
2年の開発期間を経て満を持してリリースした「アーキトイ」は、ビル用アルミ建材メーカーのトライエンジニアリング(新潟市)と共同開発した。
よじ登り対策に有効なバンドレス形状が特徴で、バックマリオンタイプの取り付け金具を併用することで「手がかり、足がかりゼロ」を実現する。新たに開発した専用の取り付け金具(ワンタッチ金具)により、施工性も大幅に向上させた。
アーキトイは特許申請中で大阪府防犯協会連合会の「防犯器具等登録」に認証された。マンションを始め医療福祉、教育、公共施設などへの展開を見込んでいる。