【JAPIC】"日本を元気にする"プロジェクトを発表! 「青函マルチトンネル構想」など地方創生へ具体的提言 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【JAPIC】“日本を元気にする”プロジェクトを発表! 「青函マルチトンネル構想」など地方創生へ具体的提言


重点推進プロジェクト(出典:国土・未来プロジェクト研究会提言書)

日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、宗岡正二会長)の国土・未来プロジェクト研究会(藤本貴也委員長)は、地方の経済、社会、文化を活性化する複数の新規プロジェクト構想を盛り込んだ提言書をまとめた。高い整備効果が見込める「重点推進」18件、重点推進に次いで必要と考える「推奨」22件を“日本を元気にする”プロジェクトとして提案。「発表翌日から全国津々浦々、自治体から一般企業まで問い合わせが多数あり、対応に追われた」(JAPIC広報部)と、大きな反響を呼んでおり、地方創生の起爆剤として注目を集めている。JAPICは4月以降、提言書をベースにした意見交換会を各地域で開き、プロジェクト実現に向けた機運を高める。 提言書には2020年東京五輪以降の20-30年先を見据え、次世代の経済活性化や豊かな暮らしに貢献する「BEYOND2020」プロジェクトを盛り込んでいる。JAPICが全国各地で複数の具体的プロジェクトを提案するのは今回が初めて。提言書が報告された2月13日の第46回日本創生委員会で宗岡会長は「地方の経済界や行政などと密接に連携し、地方の創生につながるプロジェクトづくりの機運醸成に努めていきたい」と活発な議論展開に期待を寄せた。

税金投入を抑制

プロジェクトの選定に当たっては、約40人の研究会委員が各地域の経済界などとのヒアリング、意見交換を経ながら、約1年半にわたって検討を重ねた。当初リストアップした170件を約140件の「要素計画」に絞り込み、整備効果や費用対効果などを総合的に評価して「重点推進」「推奨」プロジェクトを選定した。

青函マルチトンネル構想の断面図(出典:同)

各プロジェクトには、国の税金投入を極力抑制するための知恵と工夫を随所に盛り込み、「民間が参入したくなるような魅力づくり」に特に力を入れた。IoT(モノのインターネット)や最新技術の導入、規制緩和の活用、施設整備と文化・商業活動との連携といった視点も取り入れている。

青函Tは3本に

重点推進プロジェクトには、青函トンネルを3本体制にする「青函マルチトンネル構想」のほか、「単線方式を活用した四国新幹線」「上野浅草地区へのBRT・LRT導入」などが盛り込まれている。青函マルチトンネル構想は、北海道を食糧・エネルギー基地化するため、新たに長さ約30㎞のトンネル2本を整備する。事業は2期で計画し、概算事業費は1期が約4200億円、2期が約3300億円の計約7500億円を想定している。トンネル延長を最短化するほか、断面の最小化などで事業費を縮減する。

四国新幹線のイメージ((出典:同))

四国新幹線は、岡山~宇多津を複線、宇多津~四国中央市付近、四国中央市付近~松山・高知、宇多津~高松~徳島は単線で整備し、概算事業費は約1兆円と試算している。新幹線空白地域にコスト縮減に寄与する単線をメインとした新幹線を早期整備することで、4県の交流を深め、広く関西圏の活性化を推進する。

上野浅草地区へのBRT・LRT導入イメージ(出典:同)

このほか、下町の歴史文化・芸術資産を活用し、文化拠点ネットワーク形成と沿道再開発・景観改善に寄与する「上野浅草地区へのBRT・LRT導入」、新線導入により「第2中央駅」としてのターミナル機能を強化する「新宿駅大改造」、那覇~名護間を1時間で結ぶ「沖縄南北縦貫鉄軌道の整備」なども提案している。

機運醸成に期待

日本創生委員会後に会見した藤本委員長は、「地方創生に向けて具体的なインフラを提言するという趣旨で提言書をまとめた」と説明。研究会最高顧問を務める中村英夫JAPIC副会長は、「地域で議論をするきっかけにしてほしい」と、提案を契機とした新たなインフラ整備の機運醸成に期待を込めた。
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