石井啓一国土交通相は9月17日、台風21号で大きな被害を受けた関西国際空港などを視察した。タンカーが衝突した連絡橋の復旧作業や、浸水被害を受けた第1ターミナルビル地下の電源設備について説明を受けた。
石井国交相はまた、伊丹、神戸両空港は国内線のみとした関西3空港の通常時の運用方法をめぐり、両空港での恒常的な国際線就航を求める声が地元から出ていることを問われると「まずは地元において空港を運用する関西エアポートの意向も踏まえ、役割分担や運用のあり方について議論してもらいたい」と述べた。
その後、大阪府阪南市の電柱倒壊現場や六甲アイランド(神戸市)の被災現場なども視察した。
関空では4日から不通になっていたJR西日本・南海電鉄の運行(関西空港線)が18日朝から再開された。事故発生当初は10月からの再開を想定していたが、損傷した道路橋桁の撤去作業が順調に進んだことに加え、鉄道部分の橋桁に構造的な問題が見られなかったことから、発生から約2週間で鉄道アクセスが復旧した。
閉鎖が続いていた同空港第1ターミナルは14日から部分供用しており、21日の全面開業を目指している。
新しい橋桁を作成して架け直す方針
18日の閣議後の記者会見で、台風21号の影響によりタンカー船が衝突した関西国際空港連絡橋について、来年のゴールデンウィークまでの完全復旧を目指して作業を進めると発表した。連絡橋を管理するNEXCO西日本は、橋桁の損傷の程度が著しいことから再利用可能な一部分を除き、新しい橋桁を作成して架け直す方針を決定。方針を踏まえて、来春に海上作業を実施する。
関西国際空港の視察結果を問われた石井国交相は、「ターミナルビル地下に防災設備や空調設備などターミナルビルを稼働させるために必要不可欠な施設が多く配置されており、今回のような浸水被害を最小限に食い止める抜本的対策が必要だと実感した」と応じた。
電柱の倒壊については「避難や緊急活動、救援物資の輸送、復旧活動の支障となることから、無電柱化による災害に強い道づくりが重要であると考えている。今後、地震や台風の被害を受けにくく、電力供給の観点からも効果的である無電柱化の取り組みを進めていく」と述べた。