【記者座談会】国土強靭化「3年集中」、地域に期待感 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【記者座談会】国土強靭化「3年集中」、地域に期待感

 第4次安倍改造内閣が2日に発足した。安倍晋三首相が「全員野球内閣」と銘打った新内閣の印象はどうかな。
 安倍政権で最多となる12人が初入閣したが、政権の「土台」と位置付ける麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、世耕弘成経済産業相ら6人が留任して骨格を維持したためか、大きな改造との印象はない。新任では環境相に原田義昭氏、復興相に渡辺博道氏らを起用。根本匠氏が厚生労働相に再入閣した。
 石井啓一国土交通相も留任したが、省内の反応は。
 2015年10月から約3年間にわたって抜群の安定感を発揮しているだけに、省内の石井大臣に対する評価は高い。留任が決まったことに対しても「本当によかった」という声を複数の職員から聞いた。政策の“継続性”という点でも今回の留任は建設業にとってもプラスに働くのではないかと思う。
 ことしは6月の大阪北部地震や7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振東部地震など全国で災害が相次いでいる。新内閣の基本方針として国土強靱化の推進を掲げたように、今後見込まれるハード対策の充実・強化を先導していく国交省の役割は大きい。
 災害復旧を中心とする1次補正と、国土強靱化を軸にした2次補正という2段階の補正予算編成が伝えられている。強靱化投資の拡大へ、石井大臣にはこれまで以上に手腕を発揮してもらいたい。
 ところで、ことしも3日の関東甲信越地区を皮切りに、全国建設業協会と国交省各地方整備局などとの地域懇談会・ブロック会議がスタートした。どのようなテーマが議論の焦点になりそうかな。
 全建は地域懇談会の提案テーマに「経営の安定化」と「働き方改革・生産性向上」を設定した。安定的・持続的な事業量確保のほか、国土強靭化への当初予算の増額確保、週休2日の浸透に向けた日給制作業員の給与引き上げを後押しする環境整備などを国交省に呼び掛ける考えだ。

全建の近藤晴貞会長は、3日の関東甲信越地区ブロック会議で必要な事業量の切れ目ない確保と地域ごとの中長期的な公表を強く要請した


 豪雨、地震、台風による大きな被害が立て続けに発生し、地域建設業が応急対応に当たる機会は増えた。「地域の担い手」である建設業の重要性に対する政府や地域住民の認識も従来以上に高まっているのではないだろうか。
 内閣発足後の会見で首相は頻発化・激甚化する災害による被害を踏まえ、国土強靭化のための緊急対策を3年間で集中的に講じる考えを示した。地域建設業を取り巻く環境は依然として厳しく先行きが見えず、必要な人員や資機材の確保に慎重にならざるを得ない企業も多い。全建は経営戦略に生かせる事業計画と投資額の明示を要請する。国土強靭化の「3年集中」が、地域建設業の安定的な経営に役立つことを期待したい。投資額の明示にも期待を寄せている。

外国人材受入れ 制度的担保が焦点

 国交省は地域懇談会の意見交換テーマに、「『地域の守り手』としての建設産業の持続可能性の確保」「担い手3法の取り組みの推進」「建設分野における外国人材の受け入れ」の3つを設定したが。
 外国人材の受け入れは、新たなテーマ。留意点など生の声を聞き、今後の検討に役立てたい考えだ。全建は外国人材の受け入れの「基本的スタンス」として、建設業界の処遇改善に向けた努力に逆行しないものであれば一概に反対しない姿勢をみせているが、政府案で示した日本人と同等以上の報酬の確認や安全衛生、雇用管理をどう担保するのかが議論の焦点になりそうだ。

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