【竹中工務店】薬師寺食堂復元に「設計施工一貫BIM」! 大工の伝統技法・規矩術を組み込む | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【竹中工務店】薬師寺食堂復元に「設計施工一貫BIM」! 大工の伝統技法・規矩術を組み込む

鉄骨で再現した曲面屋根の反り

 竹中工務店は、奈良市にある薬師寺の食堂(じきどう)復興事業に、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を適用した。伝統的な技法とS造をBIMで融合し、木造寺院建築の優美な曲面屋根を再現した。設計施工関係者間の意思疎通や工期短縮にも役立ったという。
 建設に当たり、現存する同時期の建造物を参考に作成された復元図を基に、大工の作図技法である規矩術(きくじゅつ)をBIMモデルの作成プロセスに組み込み、意匠や構造骨組、設備を細部までモデル化した「設計施工一貫BIM」を実現。強度と広い内部空間を確保するため食堂の主構造にはS造が採用されたが、BIMの適用により狭い軒の懐に鉄骨を納めることができ、木造寺院建築ならではの優美な曲面屋根も再現できた。
 建築主と監修者、設計者、堂宮大工、協力会社の間で設計意図や施工確認などについて活発な意見が交わされ、コミュニケーションツールとしてのBIMの有効性を確認。作業の手戻りが減り、工期短縮効果も発揮した。
 これらの取り組みは昨年9月に韓国で開かれたBIMの国際会議でも披露され、伝統建築復元の新たな手法として注目を集めたという。
 同事業は、973年に焼失したとされる食堂の再建プロジェクト。日本画家で東京芸大名誉教授の田渕俊夫氏の手による巨大仏画(阿弥陀浄土図)が本尊となる。規模はS造平屋建て649㎡、15年3月に起工した。
 監修は鈴木嘉吉氏(奈良文化財研究所元所長)、復元基本設計と実施設計監修、監理監修を文化財保存計画協会、内部基本設計と実施設計監修、監理監修は伊東豊雄建築設計事務所、構造・設備設計と実施設計、監理、施工を竹中工務店が担当。5月の完成を予定している。

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