【第22回JIA東北建築学生賞】最優秀賞は安東大毅さんの「身体を澄ます建築」 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【第22回JIA東北建築学生賞】最優秀賞は安東大毅さんの「身体を澄ます建築」

 日本建築家協会(JIA)東北支部(鈴木弘二支部長)は、仙台市内のせんだいメディアテークで第22回JIA東北建築学生賞の公開審査会および表彰式を開いた。最優秀賞には、安東大毅さん(日大工学部建築学科4年)の『身体を澄ます建築』が選ばれた。
 同賞は、建築系学生間の交流や建築教育の情報交換の場を提供し、建築文化の向上に寄与することを目的に1997年に創設。今回は、10大学と2大学校、3高専の15校16学科から計40作品の応募があった。審査は、JIA宮城の手島浩之氏(都市建築設計集団/UAPP代表)を委員長に、東北各県の地域会メンバーや賛助会などの代表者10人が担当した。
 公開審査では、制作者によるプレゼンテーションを踏まえ、▽コンセプトの導き方▽社会性・歴史性▽空間性・造形力▽表現力--の4項目のほか、学生として将来の可能性に期待できる点を評価し、各審査員の投票で入選作品を選定した。
 最優秀賞の『身体を澄ます建築』は、東日本大震災に伴う津波や東京電力福島第一原子力発電所事故などで被災した福島県南相馬市沿岸部に新設された堤防上に、浜風を受けて移動する機織り工房などからなる多機能施設の設置を提案した。
 建物は、放置竹林の竹などを資材として活用し、自然災害や経年劣化などで自壊するたびに物見やぐらや回廊、風呂場などの機能を次々と増築して常設施設へと転化させることで、地元住民が陸と海を隔てる堤防を利用しながら時間をかけて海と共生するための場にするとした。
 表彰式では、鈴木支部長が最優秀賞を受賞した安東さんに表彰状などを手渡し、栄誉をたたえた。
 講評で手島委員長は「建築は最後まで諦めずに丁寧に作業できる人の作品が高評価され、世の中に残っていく」とし、参加者らに引き続き積極的な設計活動を促した。
 これを受けて最優秀を受賞した安東さんは「非常に光栄だ。リアリティーを追求するために調査に協力してくれた現地の方々、先生や友人らに感謝したい」と語った。
 式典後、鈴木支部長は「いずれも素晴らしい作品で、僅差の争いだった。インターンシップなどでわれわれ会員の事務所の業務を経験し、活躍の場を広げてほしい」と述べた。
 最優秀を除く入賞作品は、次のとおり(敬称略)。
 〈優秀賞〉
 ▽Aperture Gallery=千葉絵理奈(東北大学)▽纏い~やどかり暮らし~=阿部しずく(国際情報工科自動車大学校)。
 〈奨励賞・みやぎ建設総合センター賞〉
 ▽こどもの居場所~多様性を生みだす小学校の設計~=松川遙奈(東北芸術工科大学)。
 〈同・東北専門新聞連盟賞〉
 ▽まちを編む=荒木千春(日本大学)▽六次の狭間=中井彬人(東北大学)。
 〈同・河北賞〉
 ▽寄り添う縁=遠藤空瑠(仙台高専)、大沼亮太郎(同)。
 〈特別賞〉
 ▽音で仕切る美術館=瀬川森詩(秋田工業高専)▽線の融合=渡邉里沙(東北大学)、飯村隼太(同)、島谷歩汰(同)▽光が通る集合住宅=野村芹果(東北芸術工科大学)。

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