【豊川用水を複線化】併設水路で災害時にも通水確保 飛島建設 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【豊川用水を複線化】併設水路で災害時にも通水確保 飛島建設

 飛島建設の施工による「豊川用水二期東部幹線併設水路赤羽根下流工区工事」が愛知県田原市野添原地内外で進んでいる。発注者は水資源機構豊川用水総合事業部。豊川用水二期事業の一環として進めているもので、ことし6月に通水50周年を迎えた豊川用水の老朽化に伴い、新たに併設水路を設置する「複線化」の整備を行っている。幹線水路の複線化により、水を止めることなく計画的な修繕・保守点検ができるようになるとともに、地震により本線水路が被災した場合なども通水確保が可能になる。

上流側坑口

 豊川用水は、奥三河の山々に降った雨を宇連(うれ)ダムと大島ダムに貯め、頭首工で取り入れ、水路によって愛知県の東三河地域や静岡県湖西市へ水を送っている。限りある水の有効利用のため、ダムや頭首工、調整池など多くの施設を通じて水を届け、宇連ダムの水は、およそ1日かけ、約100㎞下流の渥美半島の先端まで届けられている。
 工事のメインとなる水路を通す赤羽根トンネルの規模は、NATM・小断面レール工法で、延長は3153m。上流側から1732m、下流側から1421mを掘削している。支保内空は幅2.4m、高さ2.8mで、NATMによる施工としては、「日本でもかなり最小の断面」(藤本克郎所長)という。坑内が狭いため、安全対策として、ガス濃度測定装置を100mおきに設置しているほか、坑内無線管理システム、無線LANルーター、警報機器などの設置により、人やものを感知することで現場作業の「見える化」を図り、監視体制を強化している。

下流側切羽位置

 上流側、下流側とも1日当たり4、5mの間隔で掘削を進めている。23日時点でことし1月中旬から掘削を開始した上流側は870m、4月から掘削を開始した下流側は647mまで進んでいる。全体の進捗率は37%。貫通は来年5月末から6月を予定している。
 トンネル貫通後は防水シートを張るとともに、管を設置するために基礎コンクリートを打設する。続いて、9月以降、管敷設工を行い、設置した鉄管とトンネルの隙間にエアーモルタルを充塡(じゅうてん)して完了となる。工期は2020年10月11日まで。
 現場周辺が農業地帯であるため、環境対策として騒音、振動、粉じんを抑えるために、場内をアスファルト舗装化したり、自動粉じん計を設けるなど、さまざまな工夫を凝らしている。
 また、現場では、働き方改革の取り組みとして、作業員が2人1組となる「ペア制度」を導入している。週末にどちらかの作業員が2日間連続で休めるように配慮した。
 藤本所長は、完成に向けて「良いものをつくって、後世に残したい。豊川用水が100周年、200周年と続き、渥美半島の農業の発展に少しでも貢献したい」と意欲を示している。

藤本所長

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