【記者座談会】東京・晴海の五輪選手村跡地開発/日ハムが北広島市に新球場 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【記者座談会】東京・晴海の五輪選手村跡地開発/日ハムが北広島市に新球場

A 東京・晴海の東京五輪選手村跡地開発について、特定建築者などがコンセプトを発表した。タウンネームは「HARUMI FLAG(ハルミ・フラッグ)」。上空から見ると、東京のど真ん中になびく大きな旗に見えることから名付けたそうだね。
B 全体を統括するマスターアーキテクトに光井純氏を起用したほか、デザイナー25人の個性を生かしつつ、建物間でデザインをリレーすることで統一感を持たせた。法隆寺西寺院にみられるような左右対称だが、“崩しを含んだダイナミックシンメトリー”によって、日本の洗練された建築の伝統が感じられるスカイラインを形成するという。
C しかし、賃貸・分譲あわせて約5600戸を整備するとなると、周辺エリアの住宅相場に影響を与えそうだ。中古マンション価格の値崩れや賃料低下を懸念する声もかねてから根強い。大量供給だけに、たしかに影響をゼロにするのは難しいかもしれない。ただ、特定建築者でもある三井不動産レジデンシャルは、「数年かけてバランスを取りながら段階的に供給することで、マーケットへの影響を最小限に抑える」と話している。
A 選手村を五輪後に改修するという計画だけど、マンションとしては中古物件扱いで販売することになるのかな。
B 確かにスケジュールだけみると大会前に完成しているけど、実はマンションの建築途中で仮使用許可を取得して、選手村として“一時利用”することになる。五輪後に工事を再開し、最終的な完成はあくまで2024年3月。その時点では新築物件となる。それをどのように顧客にアピールしていくかが重要になってくるだろう。

五輪選手村跡地開発「HARUMI FLAG」の完成イメージ。商業施設や小・中学校、2棟のタワーマンションに囲まれるCENTER COREは多様な人々が混じり合い交流が生まれる空間となる

温泉設置、世界がまだ見ぬボールパーク

A 北海道では北海道日本ハムファイターズの新球場建設が正式に決まった。北広島市に建設する計画で、事業費は600億円。20年5月に着工し、23年春に新球場が誕生する。道内での単体プロジェクトとしてはかなり大きな規模で、完成後も含めてさまざまな波及効果が期待される。
D 新球場には選手への負担が少ない天然芝と開閉式の屋根を採用する。開閉式屋根は天然芝の成長にも最適で、春先は寒さをしのぎながら、晴れた日は日光を浴びながら、北海道で快適な野球観戦ができそうだ。
E 日本ハムは「世界がまだ見ぬボールパーク」をテーマに掲げ、新球場のレフトスタンド上段には天然温泉施設を設ける計画だ。「風呂に入りながらホームランを見る」という、いままでにない観戦方法も楽しめる。日本ハムは「北海道のシンボルとなる空間を創造する」との理想像を掲げ「食」と「スポーツ」を融合させ、道民が愛着をもてる施設を目指している。新千歳空港からも近いため、訪日外国人客向けにもアピールしたい考えだ。
D 課題は交通アクセスだろう。日本ハムは、新駅の整備についてJR北海道と協議を進めているようだ。しかし、財政負担も含め超えなければならないハードルは多い。一方、北広島市は球場と国道、市道をつなぐ道路を2本建設する予定だが、試合開催前後の渋滞などに対する懸念もある。球場の駐車場は、3000-4000台規模を確保する計画となっている。
E 高橋はるみ北海道知事は「地域の活性化に向けて関係者との連携を強化していきたい」と話している。選手や野球ファン、北海道民の思いをつなげるためにも、課題克服に向けて連携を加速してほしい。

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