【記者座談会】富士山登山鉄道検討会が初会合/ハルミフラッグの販売開始 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】富士山登山鉄道検討会が初会合/ハルミフラッグの販売開始

A 長崎幸太郎山梨県知事が選挙公約に掲げた「富士山登山鉄道構想」の実現に向け、基本構想などの検討会の初会合が開かれた。50年以上前にも同じように、5合目と山頂を結ぶ地下ケーブルカー構想が浮上して、当時は「ハイヒールで日帰り登山ができる」と話題になった。しかし、環境破壊の懸念などの反対意見もあり実現しなかった。今回の構想はどうだろうか。
B 会合では検討に前向きな意見があった一方、厳しい意見も複数上がった。例えば、鉄道を整備する場合の安全面だ。委員からは「平地に線路を敷くのとは全く違い、非常に急こう配となる。運行の安全性、自然災害が起こった場合の安全確保などをどうするか。外国人観光客も増えているため、そこに対する配慮も必要ではないか」との意見が寄せられた。
C 構想には、富士山を保全しながら利益貢献する狙いもあるようだが、「どういう経済効果が得られて、富士山にどう寄与するのかを明確にすべき。保全や利用の観点からするとやるべきことだとは思うが、鉄道会社を儲けさせるためだけでは意味がない」と厳しい指摘もあった。
B 中でも、金融関係の委員の意見はシビアだった。「どこが事業主体となるのかをしっかり考えるべきだ。このままの構想で県が(単独で)やると言ったら、金融機関はお金を貸さない」と言い放った。事業主体の検討や事業収支・採算性の試算は、構想の明暗を左右する大きな要素の1つになりそうだ。

都内で開かれた富士山登山鉄道検討会 初会合の様子

第1期は首都圏最多の600戸供給

A 話は変わるけど、東京オリンピック・パラリンピックの開催まで1年を切った。連日、何かしらの五輪関連ニュースが流れている。不動産分野で注目のニュースといえば、晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業だ。選手村跡地を開発するマンション群「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」と言った方が分かりやすかったかな。約13haの土地に5632戸の分譲・賃貸住宅と商業施設など24棟を整備する計画で、人口約1万2000人の街が新たに誕生することになる。7月26日から第1期販売を開始した。
D 第1期は600戸で首都圏最多の供給となる。専有面積は66-152㎡、販売価格は5400万-2億3000万円に決まった。最多価格帯は「SEA VILLAGE(シー・ビレッジ)」が8600万円台、「PARK VILLAGE(パーク・ビレッジ)」が6400万円台となっている。
E 交通の便の悪さやローン契約時点の金利などを心配する声があるものの、4月下旬から開設したマンション販売センターにはこれまで約5000組が訪れるなど、関心は高いようだ。
D 交通の便に関しては、地下鉄の新線構想があり、これが実現すれば大きく改善する。ただ、国の交通政策審議会が答申した優先6路線には盛り込まれなかったため、現時点ではあくまで構想段階という位置付けだ。実現までにはどんなに少なく見積もっても10年以上はかかる。ただ、仮に整備が決まれば、中古販売価格に与える影響は非常に大きいだろう。こうした将来的な出口戦略を思い描きながら、購入を検討する動きもありそうだ。
E 大量供給となるだけに、周辺のマンション市場に与える影響を懸念する声もある。もちろん販売側も、影響をなるべく抑えるような販売計画を立てているようだが、ゼロではないだろう。さまざまな切り口から、注目を集めるプロジェクトだ。

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